ドリーム小説
俺の父さん、雲雀がとんでもなく強い人だと実感できたのは並盛にきてしばらくしてからの事だった。
俺や町のチンピラ相手に戦ってる姿しか知らなかったから、雲雀恭弥がコテンパンに伸されてるのを見て慄いた。
この世界で雲雀恭弥が手も足も出ないってどんだけだよ・・・。
そして俺はなぜかその雲雀恭弥に戦い方を毎朝教わっている。
まぁそれは父さんが意味不明に強すぎて理解出来なかったからなんだけど。
最初、雲雀恭弥は俺にとって怖い人でめちゃくちゃ近付きたくなかったんだけど、
俺はすぐに衝撃の事実を知ることになる。
雲雀恭弥は極度のブラコンだった・・・!!
何をするにも兄さん兄さんと付いてくる。
おかげでこの恐ろしい顔に多少慣れたのもあり、ある日の訓練の時にアドバイスを貰ってようやく話せるようになった。
『兄さんとやるなら、正攻法ばかりじゃ一生勝てないよ』
父さんに軽くあしらわれた俺に良かった所と悪かった所を指摘してそう言った雲雀恭弥はニヤリと笑った。
その昔、この人も父さんに挑んでは完敗を記したため、結構あくどい手を使いまくったらしい。
いいのか、それで・・・?
俺の戸惑いが見えたのか雲雀恭弥は小さく笑って大丈夫と言った。
『あの人、世界最強だからね。何をしてもどうにかなるような人じゃないよ』
迷う俺の攻撃を片手であしらって、超痛いデコピンを喰らった俺は吹っ飛んで目が覚めた。
父さん相手に迷ってたらデコピン一つで死ぬ!!
父さんは大袈裟だと笑っていたけど、これは本当に当り所が悪ければ死ぬ。
下手すれば今、首の骨折れてたよ?!
どうやら雲雀恭弥も喰らったことがあるらしく、俺と全く同意見だった。
当の本人はこの痛みが分からないから理解出来ないらしく不思議そうな顔をしてる。
ホント、マジで痛いからな、それ!
俺は雲雀恭弥が俺の理解者であることを感じて、靴の中に砂作戦を信用することにした。
結果、悪くはなかったと思う。
相手が父さんでなければ・・・!
とんでもない身体能力で俺を掴んでぶん投げて、雲雀恭弥も一緒に倒されるとか誰も想像できなかっただろう。
そして涼しい顔をして、砂作戦に驚いたとか言うもんだから、腹の一つも立つもんだ。
『・・・兄さんはラスボスなんだよ』
『うん』
『でも強いと分かってても、あの涼しい顔を見てると一度くらい咬み殺したくなるでしょ?』
この時、雲雀恭弥と俺の間で打倒雲雀の結束が生れたような気がする。
父さんは確かに強いけど、強すぎて指導については何をどうしたらいのかさっぱり分からなかった。
天才の感覚で説明されてもよく分からないことが多かったから、雲雀恭弥が指導者をかって出てくれて助かった。
何よりいずれ倒したい敵にいつまでも教わるのも微妙だったからね。
こうして俺は気付けば、雲雀恭弥と毎朝訓練することになったのだ。
並盛に来て驚いたことその2。
跳ね馬ディーノが実弟だということ。
実弟がディーノで雲雀恭弥も弟とか父さんの血縁どうなってんの・・・?
執事が飛んできて散々父さんを問い詰めて、俺を眺め倒して褒めちぎって帰って行った。
この執事は父さんの部下らしく、この辺りを牛耳るとんでもなく強いマフィアだと理解した。
父さんは執事に関して何も言わなかったけど、何かもう強者のオーラ出てるし、多分そう。
どうやら父さんは謎の組織の偉い人らしい。もう意味分かんないよね。
それからディーノもブラコンを酷く拗らせていた。
父さんに会った途端、縋り付いてウォンウォン泣いた挙句、俺の顔を見て満面の笑顔で抱き着いてきた。
俺は幼い頃の父さんにそっくりらしい。
そのおかげもあり、俺はすぐに並盛に馴染んだ。
というか、父さんみんなに好かれすぎじゃない?
ボンゴレファミリーに好かれてる時点で強くない?
世界最強、はい納得。
そんなことを考えながら、父さんと雲雀恭弥のとんでもない組手を見守る。
俺相手じゃ全然本気じゃなかった雲雀恭弥を涼やかに楽しそうに相手してる父さんマジすげぇ。
というか、ほとんど見えないんだけど。
訓練してたら父さんが来て雲雀恭弥が絡んで今に至るわけだけど、俺はなぜか主人公組三人と一緒に居た。
あの雲雀兄弟の近くは危ないからこっちにおいでってさ。
三人の隣りに座って考える。
本当に何で父さんはこの人たちと仲良いんだろ?
父さんの人間関係って不思議だよなぁ。
そう思ったら自然と口から零れていた。
「父さんってどんな人?」
すると沢田綱吉と山本武、獄寺隼人は三者三様に瞬いた。
思わずと言えど変な質問してしまったと焦っていたら、三人は悩みながら答えてくれた。
「店の常連、だな!」
そう言えば寿司屋の息子だったよな、山本って。
「・・・世界最強の男」
うん。知ってるよ、獄寺。俺もそう思う。
「優しい人だよ」
・・・あ。
沢田綱吉が迷いなく、穏やかに笑って言った言葉に息を呑んだ。
今まで誰もが最強で怖いマフィアだと父さんを評していたのを耳にしてきた。
だけど、俺はそれは一面でしかないとずっと思ってた。
俺と同じように父さんを優しい人だと囁く人がいる。
それがこんなにも胸を暖かくするとは思わなかった。
込み上げる嬉しさを我慢出来ずに笑うと、沢田綱吉は目を丸くしてすぐに微笑んだ。
俺、この人、好きだ。
「君にとってのさんってどんな人?」
「父さんはすごい人だよ。おれをあの地獄からつれ出してくれた」
逆に聞かれたこの質問。
その答えはすごく簡単だった。
これは俺にとっては生きてる意味そのものだ。
父さんはわけが分からずこの世界に生まれた俺をこの世界に結び付けて生きる実感をくれた人だ。
人形のようにただ流されるままに生きるのは死んでいるも同じだった。
だから父さんは俺にとって本当にすごい人。
上手く言葉に表せられないけど、これが俺の精一杯。
沢田綱吉はさらに笑みを深めて悪戯っぽく言った。
「さんの伝説、たくさんあるんだけど聞きたい?」
そんなの答えなんて決まってる!
力強く頷いた俺に父さんは昔からミステリアスで何度も助けてくれたと話してくれた。
当時は何で敵に回るのか分からなくて怒ったり悲しんだり悩んだりしたものだと三人は言う。
「さんの気持ち今なら分かるよ。俺達を鍛えてずっと守ろうとしてくれてたんだ」
「・・・分かり難いんだよあの野郎は。ガキの俺達が分かるわけねぇだろ」
「らしいっちゃらしいけどな!」
にこやかに父さんを語る三人を見ていて気付いた。
父さんがみんなに慕われる理由がわかった気がする。
父さんは俺にとってそうなように、分かり難いけどみんなのヒーローなんだ。
なぜだか妙に納得した俺に沢田綱吉が言う。
「それとね、俺のことはツナでいいよ。何だか呼び難そうにしてたから」
「十代目がそう仰るなら俺も!」
「おう。好きに呼んでいいぞ」
・・・超直感すげー。
内心フルネームで呼んでたのがバレたのかと思ってドキッとした。
でもこういう機会でもなければ、呼び方なんて直らないからなぁ。
「・・・綱兄?隼人兄と武兄?」
すると満面の笑みと同時に頭を撫で繰り回された。
それから、綱兄は内緒話をするように言った。
「それとね、雲雀さんもあれで同じように名前で呼ばれたいと思ってるみたいだよ?」
えー??嘘だー?
名前で呼んだら咬み殺されちゃわないかなぁ。
不審そうに見上げていたら、仲間外れにしたら多分怒ると思うと付け加えた。
群れるの嫌いなのに?
うーん。本当かなー?
そんなことを考えながらも綱兄たちと楽しく話していたら、父さんと恭弥兄の手合せが終わった。
結果は父さんの圧勝。
小さく笑って俺に手を振った父さんに駆け寄って、すぐにさっき聞いたことを確認した。
「父さん父さん!綱兄たちがつよくなるために敵になって戦ったって本当?!」
「・・・おい、綱吉?」
「綱兄って何・・・?」
なんか父さんは不機嫌そうだけど、どうやら真実らしい。
おぉ!父さん本当にそんなカッコいいことしてたのか!
「すごいなぁ!父さんマジ尊敬するよ!」
「・・・そうか?」
多分、原作知識を使って立ち回ったんだろうけど、俺にはそんなこと思い付きもしない。
感心しながら見上げていると、父さんは苦笑した。
すると、低い声で恭弥兄が唸った。
「何変な呼び方させてるの、君達。咬み殺すよ?」
「・・・ほ、ほほほら!雲雀さんにもアレ聞いてみたら?!」
ひぃ・・・!何か怒ってる!!
え、これ本当に仲間外れにされて怒ってるの?!
綱兄の必死な視線に戸惑いながら小さい声で聞いてみた。
「・・・恭弥兄ってよんでいい?」
すると恭弥兄はすごい顔で固まった。
え、それどっち?!
するとゆっくりと背を向けて、勝手にしなよと呟いた恭弥兄に不安に思って父さんを見上げると頷いてくれた。
呼んでいいらしい!
どうやら綱兄の言った通りだったようで、ニッコリ笑うと父さんに頭を撫でられた。
こうして俺がフルネームで呼ぶ人は自然と消えていったのだった。
* ひとやすみ *
・息子視点でした。恭弥が案外いいお兄ちゃんしてた!笑
意味不明な強さな父より、まだ現実感のある恭弥の方が共感できるらしいです。笑
何か綱吉の超直感は的を射ているはずなのに、恭弥がただの仲間外れを嫌がる駄々っ子みたいに……!笑
おかしいな。群れるのが嫌なはずなのにおかしなことを思われてる恭弥でした。笑
亀更新ですみませんが、またお暇があればぜひ遊びに来て下さいませ! (19/03/04)