ドリーム小説

「おい!いつまで寝てる気だ!!皆の模範となるべきお前がぐうたらしていては示しがつかんだろうが!!」

「・・・・・イザーク、煩い」




何でこうなった・・・?

いつの間に入り込んだのか人の枕元でキャンキャン叫ぶイザークに眉を顰める。

あんなに俺のことが憎くて仕方ないと言わんばかりに睨み付けていたはずなのに、あの模擬戦から一転、

イザークは俺の周りをちょろちょろするようになった。

まぁ、寄って来ては喧嘩を吹っ掛けてくるのだが、これは好かれてる故だと理解した。

だって、何か子鮫時代のスクアーロを思い出したから。

あの模擬戦の後、敬語に戻ったイザークに俺が気持ち悪いと言ったら、今の状態になった。

だって、スクアーロに敬語使われてるみたいだったんだもん。


俺はようやく起き上がるとシャワーを浴びるために、イザークの首根っこを掴んで部屋の外へ放り出した。

ギャンギャン吼えてるオカッパは放って置いて、俺は外に居たもう一人に声を掛けた。




「・・・これ持って帰ってくれ、ディアッカ」

「・・・何か、すいません、さん」

「お前のせいじゃないよ」

「待て、こr・・・」




イザークが何か言ってたがどうせ大した話じゃないのでドアを閉めた。

今の金髪の少年はディアッカ・エルスマン。

彼も言わずと知れた赤服で、イザークの同室で昔馴染みだそう。

つまり苦労人だ。

彼の心身を思うとホロリと来るものがあるが、俺は自分の身が可愛い。

シャワーを浴びて目を覚ますと、今日もまずラウの部屋へ向かった。




「ラウ、入るぞ」

「あぁ、ようやく起きたのかね。イザークが騒いでいたぞ」




肩を竦めて答えた俺は備え付けの椅子に腰を掛けた。

毎朝ここに来るのは別にラウに義理立てとか好きだからではなく、確認しに来ているのだ。

仮面がどこにあるのかを。

ある時、突然ラウの頭上にあった矢印が消えたことがあった。

俺は非常に慌てたのだが、どうやらあの仮面には予備があるらしく、その日付けていたのは予備だったようだ。

何とか予備を手に入れて、奴が着けているのと入れ替えたいのだが、未だその機会に恵まれていない。




「そうだ。隊に帰投命令が下ってね、この艦はプラントへと向かうことになった」




それっていいのか、ヤバいのか・・・。

チャンスは確実に減るが、ラウの目の届かない所には行ける。

ラウに適当に返事をして部屋を後にした。









***








通路でアスランが俯いてウロウロしたり、クルクル回ったりと不審な動きをしている。

何やってんだ、アイツ?

ずっと下を向いてるのを見てピンときた。

何かを探してるのか!

すると、俺の足先にコツンと何かが当たり、良く見てみると小さなネジだった。

何でこんな所にネジ?

とりあえず拾い上げた俺はそのままアスランに声を掛けた。




「何か探しているのか?」

「・・・さん!」




顔を上げたアスランは、困ったような表情をしていた。

よくよく聞いてみると趣味の機械弄り中に暴走したロボが廊下に激突して部品を落としたらしい。

どうしても一つ足りないのだと頭を掻くアスランに俺は手の中のネジを見た。




「もしかしてこれか?」

「え、あ、それです!」




どこか大人びてる様子のアスランがネジを片手に無邪気に笑ってる姿を見て俺は目を瞬いた。

これがコイツの本来の姿なのかもしれないな・・・。

丁寧に礼を言った少年に俺は何となく思い付いたお願いをした。













「あ、アスラーン、ネジあったー?」

「邪魔してもいいか、ラスティ?」

「・・・って、うえぇ?!さん?!」




アスランの部屋を開けたら床に這いつくばっているオレンジ頭がいた。

間延びした声で床を眺めながらアスランに声を掛けたのは、同室のラスティ・マッケンジーだ。

あまりに自由すぎる少年に声を掛けるのを少しためらったが、後々のため入室許可を取った。

案の定飛び跳ねて姿勢を正したラスティに気まずそうにアスランが説明をする。




「つまりアスランがハオ作ってるとこさん見たいんですね?」

「ハオじゃなくてハロだ」

「あ、それそれ」




ニコニコ笑ってるラスティに頷けば、アスランが溜め息を吐いた。

何かすげーなコイツ。




「アスランの所はよく分かんないガラクタが散らかってて座れないんで、俺の所の椅子どうぞ」

「ありがとう」

「あの、俺がやりにくいというか・・・」

「いいのいいの!アスランはいつもみたいに無言でネジぶっ刺しとけば!」




何ていうか、マジすげーなコイツ。

言葉を選んでいない物言いなのに邪気がないとか、もはや技である。

ラスティの相手に疲れたらいつでも逃げていいですからと言い残して、アスランは機械弄りを始めた。

その表情は完全に少年に戻っており、あーでもないこーでもないと黙々と手を動かしている。




「アスラン、ああなると全く周りが見えなくなるんですよ。でこー!でこー!ほらね?」




ラスティ・・・、何ていうか、お前すg・・・(略)

しばらくラスティと話した後、俺は二人の部屋を出た。

何だか彼らの意外な一面を見れたような気がした。


* ひとやすみ *
・閑話的なあれ。少しばかり短いですが、もともと長い話をぶった切ったのでしゃーなし。
 ラスティなんかすごい子になったけど、当初はそんな予定は微塵もなかった。あれぇ?
 原作の一話で居なくなっちゃうから分からないですが、一体どんな子だったのですかね?
 そんな所を盛って書けちゃうから楽しいのよね、二次創作!いいぞもっとやれ、ラスティ!    (14/01/19)