ドリーム小説

こんな神様が見張っているような世界で一体俺に何を探せというのだろうか。

手元にあるのはボロボロの鞄とのみ。

おまけ程度に入っていた手紙は、全く役に立ちそうもない。




『大事なことを忘れてた。探し方だが、・・・・・見たらすぐ分かるようにしといたぞ。あとは任せた』




だからキチンと説明しやがれってんだ!

俺は一先ず起き上がると、外に溜まった水で顔を洗って、太陽を見た。

うん。今日もいい天気だ。

俺がこの山に入ってすでに5日が過ぎていた。

何かこの山すんげー変な気配がするんだけど、もう気にしないことにした。

多分見張られてんだろーけど、特に接触があったわけでもなく、何もないので放置だ。

まぁ、俺が勝手に入り込んだんだから、怒られたら出て行かなきゃなんだけど今は知らんぷりだ。

この山に住む誰かさんの好意に甘えて、俺はサバイバルを満喫していた。

いや、だって、秘密基地みたいで楽しいんだもん。

ちょっと突き出した岩壁の下に木と葉を使って屋根を作り、土を盛り上げた床を作り、木の洞を寝床にして、

水を確保する甕を作り、弾薬で火種を作って、で撃ち落とした鳥を焼き、俺は生きていた。

これを愉しいと言わず何というのだろう!


え?探し物?

そんなのまるっと無視だ。だってここスゲーおっかない世界だもん。

この山に辿りついた深夜、山の麓を徐々に下って行く大量のおかしな生き物達。

あれは百鬼夜行ってヤツだった・・・!!

オバケ怖い!アヤカシ怖い!!

するとガサガサと音がして何かが近付いて来てる気配がした。

警戒する俺の前に現れたのは若い3人の男だった。

白い狩衣を着た長い黒髪の男と、やたら目付きの悪い薄着の青い男と、赤い髪を逆立てて額に布を巻いた男の3人だ。

俺と目が合った途端、赤と青の対照的な二人が、白い狩衣の男を守るように身構えた。

え、いきなり来て臨戦態勢って何?!




「これ、止めなさい。朱雀、青龍」




このおっかねぇ兄ちゃん二人の名前らしいが、大層な名前が付いてること・・・。

何かこいつらも薄着だし裸足だし耳尖ってるし、また神なんじゃねぇの?

ハハ、まぁそう簡単に神ばっか出てこないか。

朱雀と青龍は渋々ながら従って構えを解いたが、視線は未だ鋭いままだった。

狩衣の男は苦笑して俺を見た。




「高龗神に止められてはいたが、まさかここまでとは。さぞ名のある異邦の方とお見受けします」




高龗神って最初に会ったあの龍神だよな?

それに人間じゃなさそうなのを従えてるってことは、コイツもしかして陰陽師か?

テレビや本の中でしか見られない希少な存在に俺の心はトキめいた!




「陰陽師が俺に何の用だ?」

「鞍馬山の様子がおかしいと見に来たのですが、まさかこんなことになっているとは」




様子がおかしい?

・・・あぁ。あの百鬼夜行な。あれ怖いよな。

あんなのが人里降りて行ったら何事かと思うよな。

なるほど、その調査中に俺と会っちゃったわけか。




「・・・お前に何とか出来るのか、陰陽師?」




この山、何か変だもんな。

何とかしてくれるなら是非してもらいたいもんだ。

オバケ怖い。

間近で技とか見れるかとワクワクしていたが、陰陽師は苦笑して首を振った。




「この老骨には荷が重い。遠慮しておきます」

「・・・そうか」




老骨?

俺より若そうな陰陽師に首を捻るが、そうか技使わないのか・・・。

ガッカリした俺はあからさまに肩を落とした。

どうやらこの陰陽師は若いだけあって、まだ未熟な陰陽師らしい。

噂の安倍晴明とかだったらパパーって何とかしちゃうんだろうな!

いつか生で見てみたいなー!

何でかますます怒っている朱雀と青龍を陰陽師は宥めて、俺に向き直った。




「なぜ鞍馬山に来られたのですか。何か手伝えることがあるやもしれませんぞ」

「・・・探し物をしている」

「失せ物ですか。どのような物ですか?」

「知らん。だが、おそらく面倒な物だろう」

「貴様、ふざけてるのか!!」

「青龍、止めろって!」




せ、青龍怖ぇぇぇぇ!!

でも、ふざけてなんかないやい!

ふざけてんのはあの馬鹿の方だ!

誰だってあの説明じゃ何もわかんねーよ!!




「では失せ物が見つかればお戻りに?」

「ここに居る必要はないからな」





何か考えていた陰陽師はニコリと笑って分かりましたと言った。

え、何が?!

吃驚したのは俺だけではなかったようで、青龍と朱雀も目を丸くして陰陽師を見ていた。




「失せ物探しに困ったら、一条にある土御門大路近くの安倍邸を訪ねるといいでしょう。そこには優秀な陰陽師が居ます故」




何かよく分からんが宣伝された気がする。

愛想よく説明した陰陽師は2人の従者を引き連れて、山を降りて行った。

おかしなことに下山途中で気配が散ったが、一体何だったんだろう?

あの陰陽師も安倍一門だったのだろうか?




「あ、名前、聞くの忘れてたな・・・」




でも、アイツとはまた会える気がする。

最後に陰陽師が呟いた「それでは、また」という言葉がやけに耳に残っていた。


* ひとやすみ *
・兄様サバイバル能力全開です。執事も教えた甲斐がありますね。探し物そっちのけで山に引きこもり。笑
 まぁ兄様おばけ嫌いですもんね。妖怪とか無理に決まってます。笑
 山で楽しく秘密基地ごっこしてたら若晴明現る!テレビで見た陰陽師を思い浮かべて無邪気に喜ぶ兄様。
 逃げて!超逃げて!神将マジ怒ってるから!何だかいろいろ書いてて楽しかったです!!                 (14/08/05)