でたらめギミック


11. One week of the hardship.


ドリーム小説

組み分けの日以来、噂は絶えなかった。
あのウィンスコット家の生き残りだとか、異端児だとか、コソコソと噂された。
正直、自分も知らないような事で噂されて他人事のように感じているけれど、少々鬱陶しい。
遠巻きにジロジロ見られるのは不愉快極まりなかったけど、はハリーに比べればマシな方だった。
ハリーにも囁き声が付き纏い、その知名度ゆえに噂はグリフィンドール以外の寮からも囁かれていた。
“生き残った男の子”として知られているからこそがハリーを気にかけていたのか、と言われると何だかそれは違う気がした。
結局、ハリーとの関係を聞けず仕舞いのは、何だか気後れしていてハリーに声を掛けれていない。
だってまさかの言うハリーが“生き残った男の子”だとは思わないでしょ。
いろいろな意味でお互いに頑張りましょう、と心の中で自分たちにエールを贈り、は授業に意識を戻し、相変わらずニンニク臭い「闇の魔術の防衛術」の教室に眉を顰めた。








***








慣れない授業に必死に縋り付いてようやく金曜日が来た。
今日でとりあえず一週間だ。
生徒の波に流されるように大広間に辿り着くとすぐに朝食の席に着いた。
まるでトーストを食べなければ授業で答えられない、と言わんばかりに頬張るハーマイオニーに目をやった。

この一週間でよーく分かった事がある。
ハーマイオニーは超が付くほどの真面目っ子で根っからの勉強好きだ。
彼女が手を挙げない日はない。
そんなハーマイオニーと入学初日から仲良くなり、部屋も同じとなれば想像も容易いはずだ。
毎日勉強のたっぷり詰まったビンに入れられてるようで、私はいつかハーマイオニー2号になってしまいそう。
隣で睨むようにトーストを食べているハーマイオニーを倣ってもトーストに齧り付いた。



「ふふう! しっふぁひはぺなふぁい!」
「え……何?」
「ふふう! しっふぁひはぺなふぁい!!」
「うん。ハーマイオニー、食べ終わってからでいいから」



まるで頬袋のようにパンパンに頬を膨らませたハーマイオニーは険しい顔で口を動かして中の物を飲み込んだ。
良家のお嬢さんだろうハーマイオニーがこんな行動をとるのは勉強が絡んだ時だけだ。



! しっかり食べなさい!」
「ようやく聞き取れたよ」
「朝食をしっかり食べないと勉強についていけなくなるわよ?」



怪訝そうにの表情を伺うハーマイオニーには苦笑した。
そんなのハーマイオニーだけだって。
そんな言葉と共には手にしていたトーストを飲み込んだ。
黙ってを見ていたハーマイオニーは目を瞬いていつもの雰囲気に戻った。



は毎朝そればかり食べてるけど、好きなの?」
「これ……? 好きって言うかこれ食べないと朝が始まった気がしないだけだよ」



の手にあるベーコンエッグが乗ったトーストを見てハーマイオニーはふぅんと呟いた。
毎朝、ベーコンと目玉焼きをわざわざトーストに乗せているのが不思議に思えたらしい。
ハーマイオニーは木苺のジュースを流し込んでを見た。



って結構おかしいわよね」
「え? ハーマイオニーも充分おかしいよ」
「えぇ? 私のどこが?」
「まるで憎い敵をやっつけるかのような顔をしてご飯食べてるよ、いつも」
「嘘っ! やだ私そんな顔してた?」
「してた」



急に木苺のジュースと同じくらい顔を真っ赤にさせたハーマイオニーがおかしくては声を上げて笑った。








***









午後になって「魔法薬学」の授業が地下牢で行われた。
学校に地下牢がある事自体驚きだが、教室を見てもっと驚いた。
ホルマリン漬けのビンの数に、向こうの世界の理科室なんて目じゃないと思った。
プチホラーな状況の教室にマントを翻して先生が入って来た。
先生が正面を向いた瞬間、は思わず声を出してしまった。
その声に気付く者はいなかったが、は目を見開いたままだった。
の知り合いのえーと、我輩の人!
我輩先生、基、スネイプ先生は相変わらず不機嫌そうな顔でスリザリンとの合同クラスの出席を取り始めた。
ハリーの名前の所に来るとスネイプは嫌味な笑いを浮かべて出席を続けた。
そしての名前まで来ると驚いた顔をして返事をしたを眺めていた。
見られたの方が驚いていると、ものすごく眉間に皺を寄せたスネイプは鼻で笑って視線を外した。
その後、分かったことだが、どうもスネイプはグリフィンドールというよりかハリーが気に食わないらしい。



「ポッター! アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じた物を加えると何になる?」



嫌な空気のせいで静まり返った教室でスネイプはハリーを質問攻めにした。
当然のように答えを知っているハーマイオニーが隣で上へ上へと手を伸ばしていた。
わかりません、と小さく答えたハリーに勝ち誇った顔をしたスネイプはせせら笑う。



「ではモンクスフードとウルフスベーンとの違いは何かね?」
「わかりません」



必死に手を伸ばすハーマイオニーに少々呆れながらもはそのやり取りを黙って見ていた。
いくらなんでもこんな理不尽な教師は見たことがない。
これから習う事なのだから知らない子の方が多いはずだ。
文句はあるものの、口にすることなくその様子を眺めていると不意にスネイプと目が合った。



「ではウィンスコット。ポッターの代わりに答えてやりたまえ」
「は……?」



まさか当てられると思わなかったはポカンとスネイプの顔を見つめた。
その沈黙の間についに立ち上がって手を挙げたハーマイオニーが注意されたが全く気が付かなかった。
不機嫌そうに追求してくるスネイプにはしぶしぶ教科書の最後の方に載っていた事を思い出そうとした。



「え、と。モンクスフードとウルフスベーンは同じ植物で……確かトリカブトじゃありませんでした?」
「ふん。アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じた物を加えると眠り薬になり『生ける屍の水薬』と呼ばれている。モンクスフードとウルフスベーンはウィンスコットが答えた通りだ。付け加えるならば別名をアコナイトと呼ぶと言うことを覚えておけ。……諸君、なぜ今のを全部書き取らんのだ?」



いっせいにスネイプが言った事を書き取る音がし始めてもはぼーっとスネイプを見ていた。
そしてまたスネイプもなぜかから目を離さなかった。
そして一言、呟いた。



「ポッター、君の無礼な態度で、グリフィンドールは一点減点」



だから何でそうなる……?


ひとやすみ

・ハー子との仲の良さをアピール!……って何か間違った気が。
 薬学教授がカッコつかないのは何ででしょう……。      (09/03/27)