ドリーム小説
「では本当には憐泉様の孫なのか・・?」




ここまで長かった・・・。

根気強く話してるのにが話の腰を折るから進まない。

ようやく景王に信じてもらえそうな所まできた。




「そうだとさっきから散々言ってるだろうが。の玉簪を見ればわかるだろう。

 それは憐泉が身に着けていた物だとお前なら知ってるはずだ」

「それは・・・瑞花がいつも持っていた・・・」

「え?何・・?簪見せたら早かった訳?」




思わぬ所で簪が役に立って今までの疲れがドッときた。

それを早く言ってほしかった。

はどうやら景王の事を知っているようで、相変わらず横柄な態度だ。




「ふん。早く気付け。私がいつも簪を持って憐泉を探し回っていた事忘れた訳ではなかろう?」

「そなた・・・瑞花なのか?」

「えぇ?!、瑞花なの?!」

「・・・なぜまで驚く?瑞花とは憐泉と契約を結んでいた時の私の名だ」




早く言えーッ!!

と瑞花、知り合いだとは思っていたが同一人物とは思わんだろうが!!

というか・・・・。




「瑞花の方が可愛い感じだった・・」

「ふん。主の性格によって私の形は変わる」

「てことは私が横柄だって言いたいのー?!」

「知るか」




相変わらずのに私は溜め息を吐いた。

というか、私も知らなかった事ばかりで景王に説明するのはの方が適任な気がした。

いや、それはそれでマズイか・・。

するとふと景王が言葉を漏らした。




「忘れもしない。180年前、憐泉様を見送ったのはただの門兵だったこの私だ。

 公田の視察に行かれたきり、消息を絶ち、その数日後、仙籍から憐泉様の名が勝手に消えていた。

 瑞花様もいつの間にか金波宮から姿を消し、達王は倒れた。

 まさか、憐泉様が蓬莱で生きていたとは」




何とも言えない表情で俯いた景王は顔を上げて再び口を開いた。




、憐泉様は・・・・・幸せだったのだろうか?」

「こちらだろうが、むこうだろうがお祖母ちゃんは幸せだったに決まってます」

「そうか」




切なそうな顔をして笑った景王に私は涙を堪えた。

まだお祖母ちゃんを覚えていてくれる人がいる。

それがすごく嬉しかった。

そして、そんな景王が沈みゆく人なんだと思うと胸が苦しかった。

そんな私の気持ちを察したのか、景王は自嘲気味に笑った。




「今の私を憐泉様が見たら何と仰られるだろうな」

「達王の所業に嘆いていたお前が、同じ道を辿るとはとんだ大馬鹿者だと言うだろうな」

「そう、だな」




景王はただ静かに目を瞑り、私はそれを見ているしか出来なかった。





***





目の前にいると言う娘は憐泉様の孫だと言った。

瑞花様、いや、今はと言ったか、彼女が傍にいる事と、あの不思議な色の簪がそれを証明している気がした。



『彼女の名は。私の友達です』

『従僕?確かに傍から見ればそうかもしれませんが、私にとって瑞花は友人なのですよ』



ふと先程が言った言葉に昔、憐泉様が言った言葉が重なった。

雰囲気は違うが、の挑むような視線は憐泉様そっくりだった。

そして憐泉様は生きていた。

蓬莱で幸せに暮らしていたと言う。

あの頃と違わぬまま、の中には確かに憐泉様が生きている。

瑞花様も、姿こそ違うものの、本質は変わっていない。

ひたすら主を慕い、主のため、慶のために動く。

それはとなった今も変わらない。

変わったのは・・・・私だけ、か。



黙り込んだ私をが心配そうに見ていた。



あぁ。そうか。

の瞳は憐泉様と同じ翡翠色をしていたのだな。

今更ながら憐泉様に似ている所を見付けて思わず声を上げて笑った。

は当然、訳も分からず、困った顔をしていた。




、案内したい所がある。少しついて来い」


* ひとやすみ *
の謎は全部解決!・・・・・したよね?
 瑞花の時は小さくてふわふわの可愛い女の子だったのがあんな横柄キャラに・・。
 契約者によって姿が変わっちゃうわけなんですねー。            (09/02/15)