ドリーム小説
私は一体何をやっているんだ。
私の麒麟が病んだ。
それはもう取り返しのつかない事実で間もなく慶は倒れる。
この私の所業のせいで。
思い通りにならない事を恨み、妬み、権力を振りかざして無体な行いをし続けた。
それが非道な行いだったという事は分かっている。
なら、どうすれば良かったのだ。
掌から零れ落ちるように慶はどんどん蝕まれ、それを建て直す事など私には無理だった。
床から見上げる景麒の目は私を恨んでいる。
いや、哀れんでいる。
その目はもう見たくない。
景麒だけではない。
この慶の者、全てが同じ目をして私を見る。
やめろ、そんな目で見るな。
やめろ、やめろ。
やめろやめろやめろやめろ!!
***
「妖鳥を連れた者が主上に会わせろと言っておるだと?」
天官長の怒鳴り声に思わず足が止まった。
何の感慨も湧きはしなかったが、禁門に妖魔を連れてきた阿呆がいる事に少し驚いた。
部屋から抜け出せば、不躾にも寝殿の前で立ち話をしている天官がいたのだ。
「はい」
「馬鹿か。そのような怪しい者追い返せ!」
「しかし、その者が杜憐泉と名乗ったので・・」
「何だとッ!!!」
「「主上!!」」
すぐに立ち去るつもりだった王はその名に驚いて二人の前に飛び出したのだった。
天官長と天官は目を見開いて驚いたが、慌てて膝をついた。
「その者が杜憐泉と名乗ったのだな?」
「は、はい」
「会う。連れて来い」
「しかし・・・!」
「連れて来い!」
「・・・・はい」
杜憐泉が生きていた。
伝説の大司寇が慶に帰ってきた。
これで私の国は助かるのだ!!
***
とが案内されたのは玉座の前であった。
周りは案の定、警戒心むき出しであったが気にすることなく空席の玉座を眺めた。
ピリピリした空気にどよめきが走り、景王が現れた事を感じたは床に手を着いて頭を下げた。
「白い鳥。瑞花、久しいな」
下げた頭の下ではピクリと反応した。
何だかよくわからないが、瑞花を知っているという事は、景王は憐泉を知っているという事だ。
思わず冷や汗を流したに冷酷にも顔を上げる許しが出た。
いつまでも床ばかり見てもいられないは大きく息を吸って、顔を上げた。
目が合った瞬間、景王は目を細めた。
「憐泉もよく慶に帰ってきてくれた」
その言葉に呆けたの代わりに周りがどよめいた。
憐泉を知る王が認めた事でが本物の憐泉だと証明されたも同然だからだ。
「天官長。悪いが憐泉と二人で話がしたい」
「それは・・」
「人払いをせよ」
有無を言わさぬ王の言葉で、あっという間に人がいなくなり、の心臓は破れんばかりに脈打っていた。
も何かを言うつもりはないようだった。
「さて。他に人はいなくなった。どういうつもりだ。瑞花は本物のようだがお前は誰だ」
『、かわるか?』
「いい。初めまして景王。私は。杜憐泉の孫です」
「孫・・・だと?それを信じろというのか?」
怒りの空気をまとった景王の視線はに向いた。
「姿を現せ、瑞花。真実を話せ!憐泉はどこだ!」
『全く面倒な奴だ』
が心配してを見ていると白く光った次の瞬間には白い髪を結った人の姿に変わっていた。
景王は白じんだ顔で目を見開いた。
「瑞花では、ない・・・?」
「景王。彼女の名は。私の友達です」
「全く。偉くなったものだな、紗亥。180年前はただの門兵だったお前が景王とは」
「・・・お前は何者だ」
「言っただろうが。今の名はだ。私の主は。お前が知る瑞花と憐泉は死んだ」
「一体、何がどうなっている!」
「景王。私達はお祖母ちゃん、杜憐泉の話をしに来たのです」
血の気の引いた顔で動揺している景王に諭すようには口を開いた。
* ひとやすみ *
・はい。勝手に慶の過去を捏造道中まっしぐらです。
もう少しお付き合いくださいませ! (09/02/15)