ドリーム小説
さらに加速し始めたに文句を言う隙もなく、私は悲鳴を上げてその白い身体にしがみ付いた。
「ギャー!!落ちるぅ!!」
それがどれくらい続いたのか、その状態に慣れてきたらだんだん腹が立ってきた。
ブツクサ文句を言いながら毛を引っ張っていると、どうやら到着したらしい。
見えてきた入り口に言葉を失う。
・・・・確かに入り口だ。
だけど、これはどう見てもいわゆる、
裏口だろう?!
「これは何?!どういう事?!」
『禁門だ。面倒だったからな』
「ふざけんなー!
羽毛!!」
つまり、はいろいろ面倒なので全部すっ飛ばしちゃったー、って事ですよね?!
ちゃんとした手順踏めよ、この馬鹿鳥!!
私の怒鳴り声に機嫌を悪くしたのはだけじゃなかった。
下界から飛んで来たありえない珍客その1(私)、その2()に門番が気付いて大騒ぎだ。
何と言うか、仕事邪魔してすいません。
謝るからその今にも襲い掛かりそうな臨戦態勢を解いて下さい!!
こちとら、普通の女の子ですから!!
むしろ可笑しいのこの鳥だけですから!!
私の心の声が聞こえたのかは不満げに声を上げた。
『。少しの間、憐泉のふりをしろ』
「は?!何言ってんの、無理言わないでよ」
『無理じゃない。やれ』
「理不尽だ!助けてお祖母ちゃーん!!」
***
もちろん助けが来るはずもなく、理不尽な事を言いつけたは当然の顔をして門前に降り立った。
臨戦態勢の門兵達は妖魔だ、妖魔だと騒ぎ立てている。
やっぱ、あんた妖魔だったんじゃん。
そんな中、一番偉そうな人が出てきて私を見た。
「ここは金波宮だぞ!ましてやここは寝殿に繋がる門、それを知っての狼藉か!!」
何だって?!
やっぱ来ちゃいけないトコだったんじゃん!
後で覚えとけよ、・・・。
今にも刺されそうな雰囲気に鳥肌が立つ。
兵達は槍を私達に向けて、ものすごく威嚇している。
今更ながら思えば、は初めからノープランで、
しかも初めから私にお祖母ちゃんの真似をさせるつもりだったんだ。
てか、宮殿でそんな詐欺まがいな事やって無事でいられる訳ないじゃん!!
まぁ、この状態からお邪魔しましたって逃げられる自信もないケド。
「答えろ!!」
『 』
もーどうしろって言うんだ?!
前門の槍、後門の鳥。
ううぅ。
どうにもならないなら当たって砕けろ、だ!!
「申し訳ありません。急ぎ景王に目通り願いたかったのです」
慶の現状を知ってか、知らずか、門兵達はどよめいた。
というか、私の無謀さに呆れたんじゃないかな。
「貴様、名を名乗れ」
「これは失礼を。名を杜憐泉と申します」
「な、なんだと?!」
「もしやその白い妖鳥は・・!」
『妖魔ではないと言うに』
その動揺は半端なかった。
正直ここまでこの名前が通用するとは思って居なかったのだ。
すごいな、お祖母ちゃん。
水戸のご老公みたいだよ。
この憐泉が目に入らぬかーってね。
・・・ちょっと違うか。
***
それからは驚くほど上手くいった。
警戒は解かれていないものの、とは兵に連れられて部屋に通された。
杜憐泉が現れたという一報を伝えてくるのでここで待っていろ、と連れて来られたのだ。
部屋にはとの2人だけが残された。
もちろん部屋の前には兵が見張っている。
は小さく溜め息を吐いて呟いた。
「てかみんな名前だけは知ってるけど、お祖母ちゃんの顔は知らないんだね」
『当たり前だ。王は変わっているし、憐泉が居なくなって何百年経ってると思っている』
「そう、だよね」
当たり前の事ではあるが、は何だか少し寂しく思った。
するとさっきの兵ではなく、綺麗に官服を着た人が部屋に入ってきた。
明らかに態度が違っていて、は逆に不安になった。
「先程は失礼いたしました。ご案内します」
「あの・・どこへ?」
「景王がお会いになられます」
* ひとやすみ *
・あーやっと景王サマとご対面ー!
さくさくといっちゃいましょう!!(09/02/03)