ドリーム小説
「ボス!これ見て頂戴!」




騒がしく部屋に入ってきたルッスーリアに屋敷の主人は著しく傾いた眉をさらに吊り上げた。

普段、絶対に乱暴に扉を開けない部下に目を向けると机にある紙が叩きつけられた。

促されるままに紙に書かれた文字を追っていると、部屋にスクアーロが白銀の長い髪を揺らして入ってきた。




「これは・・」

「スクが鞄の底に隠してたのよ!信じられる?」

「こいつぁ、どうせお前ら気にもしねぇだろーがぁ」

「まぁ!よくもそんな事が言えるわねぇ!こんな重大事項、黙って見過ごすなんて出来る訳ないでしょ!」




言い合っていたルッスーリアとスクアーロは互いにボスの顔を見た。

ひたすら黙り込んでいたザンザスは紙を机に置いて指を組んだ。




「準備にかかれ」

「ゔぉぉい!」

「さすが私達のボスね!準備ならもう済んでるわ」




飛んで喜んだルッスーリアがそう言うとスクアーロは二人を見て慌てた。

もしこのまま作戦が実行されれば・・・。

スクアーロはボスの顔を見てさとった。

すでに手遅れだぁ・・。




「カス共、ボンゴレを乗っ取れ」







***







「えぇー!パパ、またー?」

「ホントにごめん。。仕事が片付いたら遊んであげるから」




本部では年始も過ぎたというのに、仕事に追われる忙しいボンゴレボスとその娘の攻防戦が繰り広げられていた。

いつもの事ながら、パパの方が泣きそうになりながら娘の誘いを断っている。

しかし、今日のはいつもに増して引き下がろうとしない。




「だってパパ、そればっかり!」

「コラ!!10代目はお忙しいんだ、後にしろ」

「隼人はいっつもパパといっしょだからいいじゃん!」

「当たり前だ!!右腕の俺が10代目のお傍を離れる訳にはいかねぇ!」

「むぅ!隼人なんて右腕じゃなくてヒバードの右足になっちゃえばいいんだ!」

「はぁ!?何だとコラぁ!」




プリプリと怒ったままは走って行った。

追いかけようとした隼人を武が宥めているとが立ち止まって振り返った。




「やっぱりヒバードがかわいそうだからただの足になっちゃえ!ベーっだ!」




は隼人に向って舌を出して走ってどこかに行ってしまった。




「意味わかんねぇし!!」

「まぁ落ち着けって。でも何か今日のはおかしくないか、ツナ」

・・?」







***






そしてそれはこっそりと、だが確実に動き出していた。

いつも賑やかなボンゴレアジトに変な空気が流れていた。

ただならぬ雰囲気に執務室にいた綱吉と隼人、リボーンにも緊張が走る。

あまりに静かすぎるのだ。

ボンゴレの中枢部にまで入り込める敵ならば相当の者のはずだ。




「何かくるな」

「10代目、さがって下さい」

「何だ・・?」




コンコン、と控えめなノックが聞こえてギイィと音を立てて開いた扉の先には見知った顔があった。




「了平さん?」

「すまない、沢田」

「え?」




申し訳なさそうに入ってきた了平の後ろから誰かが飛び出してきた。

その背後から飛び出た人物は一瞬の隙に綱吉に銃を突き付けた。




「10代目を放せ!お前ら何考えてんだ!」




綱吉が捕まってからは早かった。

一瞬の内に、隼人、リボーン、了平は縄に掛けられ捕縛された。

了平を人質に部屋に入って来た奴らは簡単に綱吉を捕まえた。

そして一連の事件の主犯はヴァリアーのルッスーリアであった。




「悪いわねぇ。ボスの言いつけなの。許してちょうだい」

「ザンザスが・・?どういうことだ、ルッスーリア」

「すまない沢田。まさかこんな強硬手段に出るとは」

「芝生!のこのこと人質なんかにされてんじゃねぇ!」

「欲しいのはボンゴレじゃないのよ。それにしても遅いわねぇ」




ルッスーリアの言葉に首を傾げた一同は扉が開いた直後に目を見張った。




ッ!!!」

「パパ!!」




黒尽くめに捕らえられたの姿に綱吉は縄が食い込むのも構わず身を乗り出した。

男から逃れようともがく娘の姿を見た途端に綱吉の中で何かが爆発した。

一瞬にして部屋の温度が下がったのに気付いたルッスーリアは冷や汗を流して指をパチンと鳴らした。




「ボンゴレ。悪いけど私の仲間はこれだけじゃないのよ」




そして綱吉は絶句した。

まさか、仲間とは・・・。




「クフフ。久しいですねボンゴレ」

「はは。すまん、ツナ。何か俺、こっちの仲間になったみたいな」

「本っ当にすまない沢田!極限許せ!」

「お前らやることが面倒くせぇな。あとでエスプレッソ飲ませろよ」




綱吉はそこに当然のように現れた骸と武に目を疑った。

一緒に捕まっていたはずの了平とリボーンはいつの間にか縄から逃げ出していた。

― 裏切り。

その言葉が頭に浮かんだ時、の声で我に返った。




「ルシーまで!なんでパパをいじめるの?」

。もう少し我慢してちょうだい」

「待て!!ッ!!」

「パパぁ!」




そうしてはルッスーリアと部屋を出て行った。

入れ違いに入って来たスクアーロはニヤリと顔を歪めた。




「悪いがは頂くぞぉぉ」



* ひとやすみ *
・短編にするには長すぎたので分けます。
 ヴァリアーが好きですvv      (09/02/05)