ドリーム小説
恭弥はの言葉を信じて玄関でひたすら兄の帰りを待った。
しかし、日が暮れても兄は帰って来ない。
今までが恭弥に何も告げず、こんなに遅くなる事などなかっただけに恭弥は酷く混乱していた。
「
母さん、豆腐が帰って来ない」
「そうね、恭弥。混乱してるのは分かるけど、少し落ち着きなさいね。はい、深呼吸。ひーひーふー」
「こらこら、奥さん。それラマーズ法だよ」
本気でラマーズ法を行おうとしてた恭弥に雲雀父が思わずツッ込むくらいに恭弥は混乱していた。
そんな中、我が道を行く雲雀母は腕を組んで、首を傾けた。
「でもが約束を破るなんておかしいわねぇ。これじゃお味噌汁の具材が足りないわ」
「も羽目を外したい年頃になったのかな」
「二人とも真剣に考えてくれないと咬み殺すよ」
「わぉ。父さんとしては大歓迎だけど、
奥さんに怒られるからね。の部屋に何かないか探して来てごらん」
目をギラギラに光らせて眉間に皺を寄せる恭弥に雲雀父がそう言うと、恭弥はプイと背を向けての部屋に向った。
残された夫婦は次男の背中を見送って小さく息を吐いた。
「ねぇ旦那さん、犯人はやっぱりあのウロチョロしてた人よね。只者じゃないとは思ってたけど」
「あのが連絡出来なかったくらいだ。おそらく出身国関連だろうね」
「そうねぇ。そう言えばあの子うちに来た時、何か事件に巻き込まれた感じだったものね」
「まぁ、遅かれ早かれ何か起こると思ってたし、気長に待とう」
「そうね」
***
一方、絶賛大混乱中の恭弥は兄の部屋に入り、あまりの不自然さに心底困っていた。
兄の部屋のど真ん中に明らかに不自然な桐箱。
近付いていいものなのか、はたまた、開けたら爆発してしまうような危ない物なのか判断が付かなかった。
でも、今はこれしか手掛かりがない。
恭弥は箱に近付き、耳を当て、そっと持ち上げて、両親の元へと戻った。
「母さん、兄さんの部屋にこれが」
「まぁ!粗品って書いてあるけど」
「
まさか、兄さんのダイイングメッセージ?!」
「殺さない殺さない」
「二人とも下がって。危ないかも知れないからね。僕が開けるよ」
雲雀父が珍しく大黒柱っぽく見え、恭弥と雲雀母は大人しく桐箱を手渡した。
パカリと開けた瞬間、雲雀父の表情が凍り付いた。
「こ、これは・・・!!」
ゴクリと息を呑んだ恭弥と雲雀母は雲雀父の持つ桐箱を覗いて目を見開いた。
「あら!味噌汁の具材!」
「ちくわ?!」
艶のある美味しそうなちくわが桐箱にビッシリと、軽く50本は詰められていた。
なぜ兄さんの部屋にちくわが?
謎が謎を呼び、大混乱継続中の恭弥の前で両親は嬉しそうに夕食の準備を進めていた。
兄がいなくなったというのにあまりに普通すぎる両親に恭弥は苛立ちをぶつける。
「兄さんが心配じゃないの?!」
キョトンとして恭弥を見た両親は何度か目を瞬いて、薄く笑った。
「「
心配なんて有り得ない 」」
「え」
「は強い子だもの。絶対大丈夫!」
「うん。あのが危機に陥るなんて想像出来ないよ」
「そんなことより、恭弥、夕食出来たから食べなさい」
両親の言葉を聞き、何となくそれもそうかとようやく落ち着いた恭弥はいつもの席に着いた。
隣は空席だが、きちんと料理が並べられている。
何だかまるでお供え物のように見えるのは何でだろう。
何度か目を瞬いた恭弥は手を合わせて、心で呟いた。
兄さん、早く帰って来ないとご飯がカピカピになるよ。
* ひとやすみ *
・やっちゃった感が・・・。笑
恭弥、キャラ崩壊してます。
くもじ編終了後の並盛を少しだけ書いてみました!何ていうか私の趣味で!笑
書いてて非常に楽しかった!一発書万歳!拍手お礼作品でした。 (09/09/18)