ドリーム小説
※注意:会話のみでお届けしております
「あぁぁぁ、話すの初めてだったのに、すごくかっこ悪いとこ見られた。もう最悪だ」
「そうだなぁ、おまけにあいつの忠告のおかげで助かったもんなー」
「うっ、それを言わないでよ。もっくん。ほんと殿って噂で聞いてた通り驚くことばかりの人だよね」
「あぁ、見鬼の才はもちろん、あいつ、俺の正体に気づいてたぞ。後、六合の気配も」
「え!?それ本当に!?てことは、殿って彰子と同等もしくはそれ以上の力を持ってるってこと!?」
「そうなるな。陰陽生っていうのもあるし。雑鬼たちじゃないがお前、完璧に負けてるぞ、昌浩」
「そんなこともっくんに言われなくてもわかってるよ!鋭意努力中だい!」
「殿ってさ、すごい綺麗だよね。男の人を綺麗っていうのはどうかと思うんだけど・・・。
その表現しか浮かんでこない!周りが噂するのわかる気がする。俺、十二神将の皆で見慣れてると思ってたけど。天一とか。
頭、撫でられた時に見た殿の笑顔が今思い出してもっ・・・。うぅ、不意打ちだよ、あれ」
「あー、それはわかる。って全然表情が変わらないから笑うと一気に雰囲気変わるんだよな」
「そうそう、そうなんだよ!よくわかってるじゃん!だけど、話してみないと分からないもんだよね。
遠くからしか見たことしかなかったし、噂のこともあったから、近寄りにくくて怖い人なのかと思ってた。
でも、違った。だって、殿、すごく優しい人だ。それに、尊敬できるし。
名前、呼び捨てで呼んでもらえて嬉しかったな、俺。雑鬼たちの噂も当てにならないな」
「雑鬼たちなー。いろいろな噂言ってたな」
***
『あぁー、、行っちゃったな。あいつ、見鬼だったんだな、気づかなかった』
『そうだよなぁ、内裏でも目が合うってことなかったし』
『え!?目、合ったことないのか?一度も?』
『おう、ないぞ。いつも素通りだ。というか、あまり近寄れないんだよなぁ』
『そうそう、あいつの雰囲気がそうさせるんだ。人間も言ってたし、近寄りがたいって』
『お前たちなら、遠慮なく話しかけてると思ってた。まあ、確かに俺もそんな印象を持ってたけど、
殿と話してみてその印象が変わった。いやー、思い込みって怖いね』
『失礼だぞ、孫。俺たちに謝れー』
『孫言うな!あー、はいはい、ごめんなさい。そんなことより、お前たち殿のこと知ってるんだろ?紺碧の君ってどういう意味なんだ?』
『誠意がこもってないぞ。全く、仕方ねぇな。耳の穴かっぽじってよぉく聞けよ。
紺碧の君っていうのはな、の整った容姿はもちろん、瞳の色からきてるんだ』
『瞳の色?じっと見たわけじゃないけど、殿の瞳の色って黒じゃなかった?』
『いや、違うぞー。黒味を帯びた濃い藍色だ。その色を紺碧っていうんだ』
『今じゃ、陰陽寮、果ては雅楽寮にまで広まってる呼び名だ』
『雅楽寮?なんで雅楽寮にまで広まってるんだ?』
『それは、の実家である氷見家が雅楽に秀でてるっていうのと、一族が雅楽寮にいるからだ。特に秀でてるのは横笛だ。
あいつも例にもれず一通りできるみたいだけどな!うまいらしいぞ』
『うえぇ!?殿、横笛吹けるの!?他の楽器も!?なんかすごく羨ましい!』
『あぁ、氷見家って聞いたことがあると思ったら、昌浩、お前に才能なしの太鼓判を押した家だぞ』
『うそぉ!?でも、習いに行った家で殿に会ったことはなかったよ。偶々居なかっただけか?』
『それはおそらく、親族の家だったんじゃないか?』
『あっ、そうか。でも、習いに行った家に殿がいなくてよかった・・・。俺の笛なんて聞かれたら恥ずかしすぎるし!』
『お前の笛、悲惨だもんなー。まっ、お前には陰陽師としての才能があるんだから笛吹けなくても問題ないだろ。精進しろよ、晴明の孫!』
『孫言うな!物の怪のもっくん!』
『もっくん言うな!』
***
「うーん、すごい事実がいっぱいだった・・・。んで、あの後、いきなり雑鬼たちが周りからいなくなったと思ったら・・・、
背筋に氷塊が落ちていくような感覚がして、それの気配を辿っていったら案の定、妖が現れたんだよね・・・、上から」
「あぁ、上からな。のやつ気づいてたってことか。流石だな」
「そうだね。で、無事に退治た後にじい様の式文が来て・・・、ふふふふっ、今、思い出しても腹が立つ!
なぁにが、『原則は常に隠密行動。だが、思いっきり会ってしまってどうする。しかも、陰陽生。ああ、何たる失態か。
珍しく占をして出かけて行ったかと思ったが昌浩よ、じい様は悲しい。とても悲しい。そしてやるせない!
出会ったのが氷見家のご子息の殿でよかったようなものの、 別の人物だったらどんなことになっていたかっ。
今回は殿に感謝しなさい。彼は、信用できる。安心しなさい。ああ、本当に本当に、要修行! ばーい、晴明』だ!
んなこと、わかってるよ!あの時、俺はてっきり六合が引っ張り出してくれたんだと思ってたんだ。
だけど、目の前にいたのは陰陽寮の噂の人物で、しかも、雑鬼はもちろん、もっくんまで見えてるんだから
これが驚かずにいられるかって話だ!隠密行動なんてそれのせいで忘却の彼方だよ。
でも、なんでか、引っ張り出されるまで殿の気配に気づかなかったんだよな、俺。もっくんだってそうだろ?」
「あぁ、俺でさえの気配はわからなかった。突然現れたように見えた。あいつ、気配消すのうますぎだろう」
「殿の実力ってどのくらいなんだろう?雑鬼たちにはそこんとこ聞き忘れたからなー。陰陽生の中で一番の出世頭だって言ってたし。
うーん、あっ、そうだ。兄上たちなら何か知ってるかもしれない!明日、聞いてみよう」
「晴明に聞くほうが早いんじゃないのか?昌浩や」
「じい様にぃ?いやだね、あの狸には聞きに行きたくない!それにもし聞いたとしても詳しくは教えてくれないような気がする」
「まあ、そうかもな。って謎が多すぎるし。でも、雅楽寮ではなく陰陽寮に入った理由は気になるな」
「あー、そういえばそうだね。これは直接本人に聞くしかないんじゃないかな。あとさ、一つ気になってることがあるんだよね」
「気になってること?何だ?」
「驚きのほうが大きくてすっかり忘れてたんだけど、殿、昨日、俺があの時間に出かけてた理由聞いてこなかったなって。
烏帽子、被ってなかったし、直衣だって着てなかったし。そんな恰好で出かけてれば誰だって疑問に思うはずだよね?
だけど、聞かれなかった。それって何でだろうって。まあ、恰好はともかく殿にも言えることではあるけど」
「確かにそうだな。がなんであの場にいたのかはわからないが、もしかして、のやつ、昌浩がしていること気づいてたんじゃないか?
あいつ、勘鋭いみたいだし。晴明も信用してるくらいだからな。そういうことなら聞いてこなかったことについて辻褄が合う」
「気づいててわざと知らないふりをしてくれたのかな?もしそうならありがたいな、本当に」
***
「ねぇ・・・、もっくん。今のって昨日のよりも不意打ちだよね!?ね!?何あれ!?直視できない!
昨日も考えてたことだけど、やっぱり殿って俺がしていること気づいてるよ。じゃなきゃ、『お疲れ』なんて言わない!」
「あぁー、これはもう確定だな。で、どうする?昌浩?」
「どうするもこうするも今まで通りにするしかないじゃないか!じい様が信用している人だ。心配することはないと思う」
「昌浩がそう思ったのならいい。しっかし、昨日のこと、とぼけられたな。『俺は何もしてない』ってか?」
「そんな風にさらっと流しちゃうなんてすごいよなぁ。見習わなきゃ」
「おーおー、まっ、頑張れや、晴明の孫」
「孫言うな!物の怪のもっくん!」
「もっくん言うな!」
「・・・・・・(そういえば、あの時の突然の謝罪の言葉の意味って何だったんだろう?本当に殿って謎が多いなぁ)」
「ん?どうした?昌浩?急に黙り込んで」
「うーん、なんでもないよ。さっ、仕事仕事。行くよ、もっくん」
「おー」
2014/7/17(2014/7/19 一部修正)
* ひとやすみ *
・昌浩めっちゃ可愛い・・・!そんなわけで紫憂様からいただいた2話目です!
ウチの兄様ついに物の怪まで巻き込んで勘違い発生させてます!すごいよ!!
あんまり楽しい話や設定だったので紫憂様と盛り上がって、うっかり陰陽師熱が再発しました!笑
そんなわけで私も書きたくなって、クロスオーバーでちまちま書いてます!笑
本当に熱しやすく乗せられやすいペラペラ人間です!でもいいんだ!楽しいから!笑
紫憂様、本当に素敵なお祝いをありがとうございました!これを励みにこれからも精進していきます!感謝!! (14/07/28)