ドリーム小説
別に何か用があったわけじゃない。
ただ奴らが並盛に来ていると聞いたからちょっと寄ってみただけだったのだが、
部屋の扉を開けたらそこにライオンがいた。
え、ちょっと待って、おかしいだろ?!
俺、今、ザンザスの部屋のドアを開けたよね?!
動物園の檻の扉開けたわけじゃないよね?!
なんでこんな所にライオン?!
ここ市内のホテルの一室だよね?!
ドアを開けてから数秒、俺とライオンは見つめ合ったまま動けなかった。
こ、これ、俺食われるんじゃね・・・?
バクバクと煩い心臓の音を聞きつつ、ライオンの後ろのソファーで惰眠を貪るザンザスを見付ける。
こんな所で寝てるとかアイツ頭おかしいんじゃねぇの?!
いや、番犬ならぬ番ライオンなのか?!
どっちにしろライオン連れてる時点でおかしさ満天だけどな!!
ザンザスへの罵詈雑言を心中で叫んでいると、ライオンが体勢を低くしてガルガルと唸り出した。
ギャ―――!!ヤる気だコイツ!!
突然の不法侵入者を倒そうと警戒しているライオンを前に、俺も思わず片足を引く。
ど、どうする?百獣の王に勝てるとか思えないんだけど?!
ここは逃げる一択だろ?!
ライオンの下半身に力が入り地面を蹴った瞬間、俺は手のひらを突き出して叫んだ。
「待て!」
するとライオンは後ろに跳び退ってピタリと動きを止めた。
あ、あれ?本当に止まった?
もしかしてコイツ言葉が通じる賢い奴なのか・・・?
身体を低くしてまだグルグルと咽喉を鳴らしているが、俺の言葉通りその場で待っている。
あぁそうか。こうやって野放しに出来るくらい躾けられてるんだな!
そのことにようやく気付いた俺は全身の力が抜けてホッとした。
なーんだ!
「動くなよ」
俺はライオンに近付くとゆっくりとその背を撫でた。
うわー!ふかふかだ!
というか、何だかプルプル震えてないか?
怯えてるんだろうか?人間が怖いのかな?
ほーら。大丈夫だぞー?怖くないぞー?
大人しく撫でられるライオンに俺は優しく声を掛ける。
「いい子だ」
すると、震えていたライオンが突然シマウマになった・・・!
えぇ?違う!何だこれ?!急にライオンに縞模様が出てきたぞ?!
あ、虎かこれ!ホワイトタイガーのライオンバージョンって感じか!!
これ多分まだ怖がってるよなぁ・・・。
どうしたらいいんだ?もう少し仲良くなったらいいのか?
ちょっと遊んでみたら仲良くなれるかな?
「ほら来いよ」
一緒に遊ぼうとちょいちょいと誘ってみると、遊び相手が出来てよっぽど嬉しかったのか飛び掛かって来た。
元気いっぱいなライオンのパンチを避けながら考える。
やっぱりコイツ遊びの経験不足だよなー。
じゃれるにしても今みたいに爪を仕舞い忘れてたら相手を怪我させるし、
口だってそんな力いっぱい噛み締めたら本当に齧ってしまいそうだ。
振り上げた前足の肉球をふにふにしたり、開け過ぎの口を閉めてあげたりしていると、突然笑い声がした。
「くっははは!ベスターもういい」
いつの間に起きていたのかザンザスが笑い声を上げてライオンを手元に呼び寄せた。
すると、ベスターと呼ばれたライオンは縞模様を消して尻尾をしょんぼりとさせてザンザスの元へ向かった。
あーほらもう少し遊びたかったみたいだぞ、ベスターは。
「もう少し遊んでてもよかったんだぞ?」
「俺の匣をダメにする気か、」
そんな甘やかしたつもりはなかったんだが、というかベスターって匣だったのか。
通りで賢いライオンだと思ったよ。
俺はザンザスの傍まで行くと尻尾の垂れたベスターを撫で回して言った。
「また遊ぼうな、ベスター」
「・・・がぅ」
すると可愛らしくもコロンと寝そべってくれたため、あまりの可愛さにその腹に抱き着いて顔を埋めた。
何この子可愛い!ふかふか!俺、もうここから離れない!
ベスターに抱き込まれるように座り込むと、俺は土産の酒をザンザスに手渡す。
「飲もうぜザンザス」
「くくく。そうするか」
なぜだか今日はずっと笑ってるザンザスに首を傾げながら、俺達は杯を合わせて咽喉を潤した。
その後、キーンとベスターが友達になれないかと思ってザンザスに言ってみたら、
ベスターがダメになるから止めてくれと本気で止められた。
・・・うちのキーン、そんなにダメオーラ出てるのか。
* ひとやすみ *
・お久しぶりです!!もう少し早く上げたかったのですがうまいこといかないもんだ。笑
久々のボスです!ヴァリアーとの絡みも書きたかったけど盛りすぎになりそうなのでガマン!笑
ボスと兄様のやり取りは仲良しなので楽しいです。周囲から見たら世界征服でも
企んでそうに見える所も面白いと言うか。笑
閑古鳥が鳴いてるサイトですが、またたまに来て下さると嬉しいです! (17/05/05)