ドリーム小説

なーんかよく分からんが、結論からいうと大団円。

わけが分からぬ内に始まって、混乱している間にマルッと解決した感じ。

ボロボロになったゴーストをあの後現れた綱吉が零地点突破改で吸い取っちゃって、

案の定ゴーストの炎の転送先だった白蘭がボス面で現れて、七転八倒して綱吉が勝った。

そんでチビ綱吉達は過去に帰り、白蘭がオイタした過去は何でか強制的になかったことになったらしい。

だから殺された人達は帰ってきているし、ボンゴレが壊滅した事実も全て無に帰したわけで。

え、何それ、その都合のいい展開・・・。




「それはつまりお前達のいう予定調和だったわけか」




俺の目の前で正座する綱吉と恭弥と正一を見下ろしながら足を組む。

こちらに引き留めていたチビ綱吉達が過去に帰ったということは、こいつら大人組が帰ってきたというわけだが、

俯いて何だか可笑しな表情で俺の元に来た三人に思わず大きく息を吐く。


前々からおかしいとは思ってたんだよ。

ほぼ超人と言っていい綱吉が対談中に射殺も変だし、正一が十年バズーカのことやら何やら事情をペラペラと喋って

ミルフィオーレに俺を置いて行ったことも、恭弥が恰好の敵である白蘭を残してチビと入れ替わったことも変だった。

何より俺、何にも知らないし知らされてないのに、敵扱いされてあの場に引き摺り出されたのも腑に落ちなかった。


つまり俺は最初からこいつらにワイルドカードとして配置されていたのだ。

自発的にミルフィオーレに入ったわけじゃないことを知っていたこいつらは、

俺を動かない敵としてチビ綱吉や白蘭を動かすために利用していたってことだ。

そりゃそうだよな、何も知らないんだから俺は動くわけがないよな。

そのために正一は俺を第0部隊に放り込んで縛り付け、内情喋ったことで白蘭のストッパーにさせたし、

恭弥は俺を白蘭を倒す前座に引き出すことで潔く身を引いたし、何よりその全てを直感に頼って目論んだのは綱吉だ。




「それで?」

「えーと、その、先生の機嫌がよろしくないと窺った、ので」

「だから?」

「ごっごめんなさいッ!」

「何が?」

「・・・・・」




三者三様の反応に大きく溜め息を吐く。

機嫌が悪いというか、俺は怒っている。

何がって、百歩譲って利用されたことはいい。

だけどそれを全部俺に黙っていたことが気に入らない。

仲間外れは寂しいじゃないか・・・ッ!

まぁ結局、俺の情報収集能力の不足と読みの甘さが原因だったってことか。




「・・・一言くらい言っておけよ」

「言ったら兄さん、自分で解決しようとするでしょ」




・・・確かに。

で、でも、俺だって全部なかったことにするためには、俺がやってもダメなことくらい理解してるんだぞ!

兄の威厳を守ろうとキリッとした表情を保って恭弥を見た次の瞬間、目の前が煙に包まれた。

そして、目の前にはなぜか懐かしき小さい恭弥と小さい正一、なぜか綱吉はいなくなっていた。




「・・・あぁ、十年バズーカか」




ホントこれ、いつも突然だよなー。

しかも皆小さくてすごく和む。つーか癒される。

十年前の彼らを見ていると胸に溜まっていた怒りや不安は、何だか空気の抜けた風船のように萎んでしまった。




「ぼ、僕は、彼に言われて、呼び出しただけで・・・!」

「・・・脅されたんだな、正一。・・・で、何の用だ、恭弥」

「これ」




俺が咎めるような視線を向けると、恭弥はムスッと膨れたが、すぐに持っていたそれを俺の方に弾いた。

受け取ったそれは、失くしたはずのあの指輪だった。

え、これ、まさか、お前、十年前の俺からもぎ取って来たわけ?!

いつの間に?!




「・・・寝てる間に勝手に借りてきただけ」

「それは借りてきたとは言わないな」

「何でもいいよ。・・・兄さん、十年後で不自由してたから」




それで、あるべき所に返そうと思ったわけだ。

つまり俺のためか。

まぁ確かにこの時代では指輪はあまり必要ないし、物騒だもんな。

そんなことで呼ばれたと知った俺は、弟の想いがくすぐったくて思わず声を漏らして笑ってしまった。

クツクツと笑う俺に、なぜか二人が目を瞬かせて固まった。

えー、そんな、不気味な笑い方したかな?




「いらないよ。それはもう十年前の俺が持っておくべきものだ」

「困らない?」

「俺に指輪が必要に見えるか?」




そんな物騒なオシャレいらないだろ。

俺、装飾品とかチャラチャラしたの似合わないし。

間髪入れず首を振った恭弥に、ほんのりとした苦さを感じたけど、気付かないふりをした。




「じゃあな、お前ら、俺を頼むな」

「・・・指輪、返す方が怖いよ」

「心配ないさ、もう怒ってないから」




キョトンとしている二人に目を細めた瞬間、再び視界が煙に覆われた。

あぁ、帰って来たな、俺の時代に。

煙の向こうで何だか不安そうな顔をしている三人を見て、何だか可笑しくなった。

いい大人が雁首揃えて何やってんだろね。

十年前より少し大きくなった彼らを見ても、不思議と怒りは湧いてこず苦笑する。




「あ」

「ん?」

「・・・ホントに怒ってないみたいだね」

「十年前のさんがそう言ってたんです」




ふーん。まぁ十年前でも軸は俺だもんねー。

大体、怒るのってすっげー疲れるもんな。

何かもういろいろ面倒臭くなった。




「お前ら、昔の自分に感謝するんだな」




しゃーないから許すが、次はねーぞ?

次、ぼっちにしたらグレてやる・・・!

ホッと安堵の表情を浮かべる三人を見て、俺は薄く笑った。

俺が奴らに背を向けた時、背後で三人が意地悪く口端を上げたのを俺は知らない。
















・・・・・・・・と、言うと思ったか、バカッ!





お前らの浅知恵なんて全部マルッとゴロッとお見通しなんだよ!

今のタイミングは良すぎだろ!

過去の自分を正一が操れるなら、ここで入れ替わることも仕組めたはずだ!

何より、グラスに反射してお前ら顔が見えてんだよ!

俺を十年前に送ってその騒動でウヤムヤにしようとしてたんだろうが、そうはいくか!

もう利用されたことは怒ってないが、このまま引き下がるのはちょっと悔しい。

だから、ちょっとした仕返しくらい許されるよな。

お前ら、不幸の手紙が届いて泣いても知んねーぞ!


* ひとやすみ *
・まぁそんな話。いろいろ設定の甘い所があるんですが、まぁ深く考えないで下さいませ。
 でも結局そういうことだよなーと、正一の話を読んでて思った。リセットできると
 踏んでなきゃ十年前の自分たちを呼ばないし、仲間を空間保存しないよねーと考えたり。
 兄様は綱吉達の仕業だと最後確信してますが、タイミングは偶然だったとしても仕組んだのは
 間違いないでしょうね。それ故のニンマリ。最終的に兄様が未来に飛べば万事解決的狙いだったはず。
 これで一応未来編はおしまいです!またネタがあればいつの話でも書きますが、今の所これ以上
 番外を書く予定はありません。長い間待って下さった方、感謝感謝です!ありがとうございました!             (13/10/25)