ドリーム小説

さんがいなくなった?!」

「貴様ぁ!!声がデカいッ!!」

「いやいや、お前の方がデカいって、イザーク・・・」




プラントに帰港し、下艦手続き中に見付けたアスラン達に不本意ながらの行方を聞いたが、

やはりこいつらなどに聞くのではなかった。

大きな声で叫びやがって誰かに聞こえたらどうする!!

憤慨している俺の隣でなぜかディアッカが間抜け面を晒している。

こうなればやはり直接隊長にお聞きする他ない。

タラップに向かわれている隊長と艦長の姿を見付けて俺は駆け寄った。




「あのっ隊長!」

「ん、イザークか」

「では、お先に失礼します」

「あぁ」




アデス艦長が気を遣ってくれたので、俺も礼を返して見送る。

クルーゼ隊長も同じくそれを見送り、俺が何を尋ねるか分かっていたように言った。




ならすでに艦を降り、次の任務へ向かったぞ」

「は?!」

「アヤツも忙しくてな。誰かさんが勝手に入るから、仕事が片付かんと下艦間際まで私の部屋に居座っていたよ」

「・・・・あ」




それは間違いなく俺のことだろう。

居心地が悪くなって視線を背けた俺を隊長は小さく笑って、俺の肩に手を置いた。




「君はを慕っていたものな。分かるさ、あの戦闘を見てしまえば誰でも彼に魅せられる」




隊長の思い出すような声音に俺はあの時の模擬戦を思い出していた。









***









ロッカールームで着替えて、午後の模擬戦のためにトレーニングルームに向かうとすごい人だかりが出来ていた。

何だ、あれは?

怪訝に思った俺の心の声に答えるように、ディアッカが思い出したように言った。




「あぁ、模擬戦でアスランとあのって人がやるらしいぜ」

「なにぃ?!」

「あ、ちょっと待てよ、イザーク!」




遅いお前に合わせて暢気に歩いていられるか!

あの胡散臭い男の実力が見られるのだぞ?

フェイスだと名乗り突然現れた・ヒバリという男をクルーゼ隊長に紹介されたが、

あれを不審に思わなかったのは俺だけじゃないはずだ。

あの場でアデス艦長すらも初耳だという顔をしていたのはおかしな話だ。

ミゲルだってアイツを案内した後、苦手だと溢していたくらいだ。

その化けの皮、俺が剥がさねば誰がやるんだ!!




「隊長ッ!どうか私に相手をさせて下さい!!」




隊長が頷き、ついでにアスランも蹴落とせて満足していたが、

奴は俺の想像以上に性格が歪んだ野郎だった。




「アスランが良かったが仕方ない・・・」

「・・・それは、俺では相手にならんということ、ですかッ」

「いや、別に・・・」




至極残念そうに未練がましくアスランを見るに米神が引き攣る。

俺の成績がアスランに劣るから役不足だとコイツは言いたいらしい。

コイツは上官、コイツは上官と、唱えて、込み上げる怒りを抑え込みながら呟くと、

は興味なさそうに誤魔化した。

もうコイツと話すだけ無駄だ・・・!!

絶対、殺す!!

今顔を見たら飛び掛かる自信がある俺は背中を向けて、仲間達が待つ方へ向かった。




「イザーク、お前、ちゃんと敬語使ってたじゃん、偉い偉い!まぁ、殺気は駄々洩れだけど」

「うるさぁい!!」

「おい、ミゲル。あんまし油注ぐなよ。とばっちり食うの俺なんだぜ?」

「煩い、ディアッカ!さっさとそれを寄越せ!」

「はいはい」




ミゲルからもらったダガーを腰に付け、デジアッカから訓練用のサバイバルナイフを受け取った。

今回は模擬戦だから別に武器はいくつ合ってもOK。

ただし銃や爆弾は使用不可で刃物だけの仕様だ。

立場上相手が上官だとしても、訓練なら遠慮なくボコっても問題なし!

振り返った俺はの姿を見て顔が引き攣った。

何で戦闘訓練だというのにアンダー一枚とズボンなんだ?!




「プロテクターは?」

「付けていいのか?」

「貴様ぁ!!付けなかったことを必ず後悔させてやるッ!!」




ふ ざ け る な よ 、 こ の や ろ う !

俺のことを舐めてるのかぁ?!

こんな戦場舐めたいい加減な奴なんぞこの俺がぶちのめしてやる!!

その後、しかもダガー一本を選ぶ余裕を見せてきて、俺なんか簡単に倒せるとアピールしているようだった。

怒りも沸点を超えると逆に冷静になるらしい。

俺の様子にあわあわと顔を押さえてるディアッカの姿が映る。

何やってるんだ、あのバカは?




「では、始めっ!!」




審判の開始の声に俺は走り出した。

先手必勝、サバイバルを肩から切りつけようと振り上げたが、は予想外にもダガーを滑り落とした。

驚いたのは一瞬だったのだが、すでに奴は俺の射程におり、獲ったと思った。

しかし、その一瞬の隙を衝かれ、の足先がダガーを蹴り上げた。

マズイッ!このラインは・・・!!

身体を無理に捩るとバランスを崩し、勢いのまま横転した。

すぐさま身体を起して後ろに転がってるダガーに目を向けた。


獲れると思って飛び込んだのに、あの一手で形勢が一気に逆転した。

俺がああして飛び込めたのはアイツがわざと誘い込んだからで、

あのダガーのラインを読み違えていれば目が潰れていた。

ダガーの風切音が耳にまだ残る中、最初と変わらぬ場所で変わらぬ出で立ちで立つ男に心臓が音を立てた。

どうやらフェイスというのは伊達ではないらしい。




「な、んだ、今の・・・」

「えげつねぇな。これ訓練だぜ?マジでヤる気じゃないのか、あの人・・・?」

「おい、ジュールに勝てない俺って、どうなんのさ」

「瞬殺だな」

「怖ぇぇぇ!!」




くそっ・・・雑音が煩い。

心臓までが強い奴と戦えて喜んでいるかのように跳ねて俺の集中を掻き乱す。

目の前に自然体で立つを見て、深く息を吸い込んだ次の瞬間だ。

気が付いたら目の前に奴がいた。

瞬間移動?!そんな訳がない!!

無意識に俺はナイフを突出していたが、は俺の手を軽く払うと懐に潜り込んできた。

クソッ!!

後手に回った俺は肘を支点に払われたナイフを懐のの首に向かって引き戻した。

すると身軽な動きで後ろに反って避けると、奴は俺の利き腕を掴んで無効力化してきた。

肘を内側にそう手を外に捻られるともう使えない。

なら、さっきのの技をいただくまでだ!

開いてる左手を肘の下に潜り込ませ、握っていたナイフを下に待機させていた手に落とした。

間を開けずに懐のを斬り付けたが、俺が空を切った頃すでには手の届かない所に後退していた。

こんなに思考力が削られる息を吐かせない戦いをしたのは初めてだ。

強張った身体中の筋肉をほぐすように、何度も息を吸う。




「流石だな」




ポツリと呟いたは文句なしに格好良かった。

無造作に髪を掻き上げているが、俺と違って全く息を切らしていない。

初めて会った時から随分と綺麗な顔をしていると思っていたが、こうしてみると男の俺でも羨むような格好良さがある。

クソッ何負けた気になってるのだ、俺は!!

今のセリフだって皮肉めいていたし、どう考えたって俺のセリフだろうが!!

少し落ち着いてくると、思い出したように右腕がズキリと痛んだ。

チッ・・・さっき掴まれた所をやったか・・・。

怪我は隠し通さないと命取りだ。

痛む腕に気付かないふりをしてナイフを握り直して、を見た。

ジリジリとタイミングを計り、そしてが動いたので俺も走る。




さんが先に動いた!」




走り来るが急にスピードを落とし、嫌な予感がした。

けれど戦場は待ってはくれない。

考えもなく突っ込んだ俺はの腹を狙ってナイフを突き出すと、その腕はあっさり捕らえられ腰に固定された。

右腕が押さえられてしまったと思った時にはもう遅い。




「クソッ・・・!」




気が付けば抱き合う形では懐に潜り込み、俺の左脇下から右腕を通すと右足で俺の股を割ってきた。

近すぎる距離にギョッとした次の瞬間、首筋に冷たい刃物を後ろから当てられていた。

何で落ちてたはずのダガーを持って・・・・、まさか!足で跳ね上げたのか?!

信じられない芸当に俺は格の差という奴をまざまざと見せつけられた気がした。

それと同時にこうなりたいという願望が湧き出てきた。




「降参するか?」




耳元で囁かれた低い声に鳥肌が立った。

やめろっ!!耳元で喋るな!!

その瞬間、自分が今、どんな体勢でいるのかを思い出して顔に血が上った。




「〜〜〜〜〜〜ッするから、はなれろぉ!!」




するりと離れて何でもない顔でこっちを見てくるにさらに顔が赤くなる。

何でこいつはこんな平気な顔をしてるんだ?!

これでは恥ずかしがってる俺の方がおかしいみたいではないか!!

やはりこいつは変だ!!そうだ!こいつはスケコマシだ!!

無駄に色気を振りまく野郎を睨み付けると、隊長達も同じことを思ったらしい。




「君は恐ろしい奴だな・・・」




全くだ!男にまで色気を振りまく奴があるか!!

こんなんだから皆に不審がられるんだ。

これだけ強いのだから、もう少しマシな態度をだな・・・。




「おーい、イザーク?ダメだ。聞こえてねぇわ。さんマジ恐ろしい・・・。このイザークを陥落させるとは」




何やらディアッカがブツブツ言っていたようだが、俺は全く気付かなかった。









***









「イザーク」




俺は隊長の呼びかけでハッとした。

どうやら過去の記憶に飛んでいたようで呆けていたらしい。

あの後、有能だがどこか抜けているの世話をして話すようになったのだが、どうも俺はあいつの邪魔をしていたようだ。

仕事にならなかったのは俺のせいだな。

去り際に声も掛けてもらえないとは情けないことだと俺は溜め息を吐いた。

すると隊長は俺の肩を二度ほど叩いて言った。




は任務で姿を見せずに消えたが、イザークのことは気に入っていたようだ」

「え」

「君のことを弟のようだと言っていたからな」




では、と隊長がタラップに消えるのを茫然としながらも敬礼で見送った。

俺が弟・・・・。

何とも言えないむず痒い気持ちになったが、不思議と嫌な気分ではなかった。

まぁ同じザフトにいれば、いずれまた会うこともあるだろう。

俺は後ろでボーッと立っていたディアッカの元へ向かった。




「母上がお待ちだ。さっさと降りるぞ、ディアッカ!愚図愚図するな!」

「はぁ?何なんだよ、お前は?」

「うるさい!」




またな、


* ひとやすみ *
・これにて種編はおしまい!あー楽しかった!
 弟のようとか言われてますが兄様は子鮫を思い出していたので、正確には弟分に似ている、です。
 ラウは結構興味ないことは適当。しかも子鮫って多分10歳前後だから幼稚ってk・・・ゴニョ
 これぞ勘違い!って感じのカッコいい兄様を書けて嬉しかったです!
 気が向いたらまた他作品で書くので、その時はどうぞよろしくです!感謝!!            (14/01/19)