でたらめギミック
16. The adventure night mixed with hums.
ドリーム小説
「ねぇ、サラ。私、すごく嫌な予感がするんだけど」
『……なら帰れ』
「ここって禁じられた廊下じゃないッ!!」
どんなに引き止めてもサラはいつも通りで引き返してくれる気配すらない。
残念な事にではグリフィンドール塔へ帰る道が分からず、結局着いて行くしかないのだ。
サラは扉の前で停まるとを見て開けろと言い放った。
禁じられた廊下の扉なんて恐ろしくて開けたくない。
しかしサラの赤い目には敵わず、はしぶしぶ杖を向けた。
ガチャリと音がして開いた扉の向こうにあったものと目が合った。
絶句しているを放ってサラは嬉しそうな声を上げた。
『ほぅ……』
「さ……さ、サラ。これってケルベロスッ?!」
『察しがいいな。一体学校で三頭犬を使ってまで何を隠すというんだ』
サラは極悪な顔で笑いながら三頭犬の足元を見た。
つられるようにも視線を向けるとそこには隠し扉があった。
そんな疑問も三頭犬の唸り声と共に霧散した。
『、何か歌え』
「は?!」
『死にたくなければ歌え』
「こんな急死に一生の珍事件中に何言ってるのよーッ!!」
痺れを切らした三頭犬の真ん中の頭がに向かって牙を剥いた。
声にならない声で叫んだは間一髪でそれを避けて床に転がった。
獲物を逃した頭は目だけで再びを捉える。
『いいから歌え』
「分かったわよ! 後でちゃんと弔ってくれなきゃ化けて出てやる!」
歌、歌、歌、歌……ッ。
パニックの頭で知ってる歌を思い出す。ダメだ。パニックで思い出せない! なら……!
再び襲い掛かってきた頭にはギュっと目を瞑り、息を吸い込んだ。
「サラはさらさらサラザール〜♪ 灰色だけど腹黒さ〜♪」
牙に引き裂かれる衝撃がいつまでも来ない事に不思議に思った私は歌ながらこっそり目を開けると三頭犬がウトウトとしていた。
『……何て酷い歌だ』
失礼な。作詞作曲・ウィンスコットの大曲「サラは灰色」だぞ?
サラに文句を言おうとしたら歌を止めたらまた犬が来ると脅された。
泣く泣くは歌い続け、サラは隠し扉を開けた。
『どうやらこの奥にも道があるようだが、いくつか罠がありそうだな』
「〜♪」(罠?!何それ)
『今日は帰るぞ』
「〜〜♪」(早く帰ろう!)
会話もままならない状態で扉まで後退し扉に手を掛けた瞬間、の意思とは関係なく扉が凄い勢いで開いた。
その瞬間、何かが雪崩れ込んで来ては床に倒れた。
「もうオーケーだ」
「いたたた、何がオーケーなのよ」
『、歌はどうした』
「あ……」
その瞬間、入ってきたのがハーマイオニー、ハリー、ロン、ネビルだったのだと不意に気が付いた。
そして4人の顔が段々恐怖に歪んでいったのを見てしまった。
すっかり目を覚ましてしまった三頭犬の唸り声をは真後ろで聞いた。
「逃げろ!!」
誰からでもなくそこにいた人は一斉に扉の向こうに飛び込んで扉を閉めた。
三頭犬が追ってくる気配はしなかったが背筋の凍る思いに突き動かされ、必死に走って談話室でようやく力が抜けた。
しばらく誰も話さなかったが、とネビルがへたり込んでる間にまたハーマイオニーは二人と言い争っていた。
不意に振り返ったハーマイオニーの顔は物凄く不機嫌そうだった。
「! あなた何であそこに居たの?! 就寝時間過ぎても帰ってこないし私がどれだけ心配したと……!」
「ごめんって。合言葉を知らなかったんだよ」
「呆れた。今までどうやって出入りしてたのよ?」
「……誰かにくっついて?」
「だったら尚更夜中に出歩くなんて! 合言葉は豚の鼻よ! 豚 の 鼻 !!」
「あー……、さっきハリーが言ってたの聞いてたって」
怒りん坊のハーマイオニーはこうなると止められない。
困ったようにハリーとロンを窺うと、二人も何とも言えない顔をしていた。
何だかおかしくて笑うと二人も笑ってくれてようやく落ち着いてきたと思っていたら後ろから抱き締められた。
肩越しに触れるふわふわな髪の毛にすぐハーマイオニーだと気付いたけど、どうしてこうも仲が悪いんだろう。
「と仲良くするのは構わないけど、もしかしたらが殺されてたかもしれないのに」
「え? でもそれ私が勝手に」
「もっと悪い事に退学になったかもしれないのよ。ではお差支えなければ休ませていただくわ」
「え? えぇ? ハーマイオニー!」
私はハーマイオニーにローブを引っ張られて女子寮へ上がっていくしかなかった。
その途中に見た二人のポカンとした顔が忘れられない。
「あれじゃまるで僕達がを引っ張り込んだみたいに聞こえるじゃないか」
見えなくなって聞こえたロンの声に私は申し訳ない、と呟くしかなかった。
ひとやすみ
・賢者の石から一部引用させていただきました。
ケルベロスとはギリシャ神話に出てくる三つの頭を持つ冥界の番犬だそうです。音楽に弱いので歌もあり(勝手に
ようやくここまで来ました!何ていうか、この話は怒りんぼハー子の話ではないだろうか?
「サラは灰色」私自身、とっても聞いてみたいです…………。 (09/07/09)