ドリーム小説

「あら、ボス目が覚めたのね!!」




目が覚めると目の前にルッスーリア。

煩く泣き叫ぶレヴィに不機嫌そうなスクアーロがそこにいた。

よく分からないままに起き上がったザンザスに状況を説明するようにスクアーロが口を開いた。




「任務中に廃墟の床が抜けて、お前は落ちたんだぁ。半日意識が戻らなかった」




外野が騒ぎまくる中、ザンザスは異世界での生活を思い出していた。

という女と3週間近く一緒に暮らしていたのは夢だったのか。

それにしても可笑しな女だった。

この俺を殴るは蹴るは、その癖心配する忙しい女だったが、何故か飽きなかった。

クルクル変わる顔をもっと見ていたいと思った事や、あの生活も悪くないと思った事、

を無理にでも連れ帰りたいと思ったあの時の気持ちも全て嘘だったのか。

ザンザスが思考に沈んでいる時に、ルッスーリアの陽気な声が耳を打った。




「あっらーん?ボス、手に持ってるのは何なの?」




言われて視線を落とすとシルバーの小さなネックレスが手に引っ掛かっていた。

この見覚えのあるネックレスはの首元で輝いていたものだ。

ザンザスは噴き出すように笑って、それをきつく握り締めた。

いや、夢ではなかった。

この気持ちも、あの時の気持ちもまだこんなにも色鮮やかなまま。







***






事実を知った時の衝撃ったらなかった。

今まで全然気付かなかった自分もそうだけど、可笑しな世界に文句を言いたい。

本屋でそれを見た時に悲鳴を上げた私は、近くにいた中学生に変な目で見られた。

だって、とある漫画の表紙に先月3週間くらいウチで生活してた男が載っていたのだから。

思わずその中学生にこの人誰って聞いてしまった。

見知った名前に打ちひしがれたのは言うまでも無い。




「異世界って漫画の世界かよ」




は化粧室で鏡に映る自分に呆れたように溢した。

は結婚披露宴会場の化粧室で大きな溜め息を吐いて、今の状況を嘆く。

恋に気付いた瞬間に別れる羽目になった人間が、どうして人様の恋の成就を祝ってやらねばならないのだ。

ザンザスの大馬鹿野郎。

お前があんな捻くれた性格してるから、気持ちに気付くのに時間が掛かったんだ。




「ムカつくけど、・・・会いたいなぁ」




はそんなめちゃくちゃな事を思いながら化粧室を出て会場に戻った。

ロビーの大きなシャンデリアの下を通った時、小さなバッグに押し込んだ携帯が着信を知らせる。

慌てて引っ張り出して、相手の名前を見て驚いた。




「ザンザス・・・!」




そう言えばと、は出会った日に携帯を勝手に弄っていたザンザスを思い出した。

毎日一緒にいたのでその番号が使われた事はなく、今初めて登録されている事を知ったゆえに心底驚いたのだ。

慌てて電話を取った瞬間、床にポッカリ穴が開いては真っ逆さまに落ちて行った。









***







「チッ。繋がらねェか・・・」




ザンザスは携帯をパタリと閉じて会場に戻る。

ボンゴレ主催の面倒なパーティーにヴァリアーも借り出されていた。

あの事故から日に日に機嫌が悪くなっていくザンザスを見てヴァリアー幹部は焦っていた。

気分転換を狙って外に追い出したのだが、近寄ってくる女達に益々機嫌が悪くなるので手詰まりだ。

このままではトバッチリが来る・・・!

戦々恐々としている幹部達を余所に、ザンザスは主催サイドなのをいい事に態度悪く踏ん反り返って座っていた。

ご機嫌取りにレヴィが肉をテーブルに並べ、ザンザスは無言でフォークを動かす。

次の肉にフォークを刺した次の瞬間、どこからともなく悲鳴が聞こえ、天井から降ってきた物を思わず抱きかかえた。

ザンザスは大きく目を見開いて落ちてきたそれを見た。

右手にフォークに刺さった肉、左手に着飾った。

突如、天井から降って来たを膝に乗せ、互いに見詰め合うこと暫し。




「とりあえず、いただきます?」




横抱きされているは状況が全く飲み込めず、困った末にザンザスの持っていた肉に齧り付いた。

異様な視線を会場中から向けられて沈黙に耐えられなかったのだ。

思った以上に美味しかった肉を咀嚼しながら、ザンザスを見ると怒ってた。




「・・・・お前、俺の肉を食ったな」

「何よ、もっと他に言うことあるでしょ?」

「お前にその言葉そのまま返してやる、ドカスが」

「勝手に目の前から消えた奴に言われたくないわよ!大体ね、片付けもせずに消えるなんて・・・!」

「少し黙れ」

「ひぅ・・・んっ」




口を塞ぐように当てられた唇は味わうように何度もを啄ばみ、言葉を奪った。

もそれに溺れていたかったのだが、いかんせん周りの視線がめちゃくちゃ気になる。

特にザンザスと同じ黒い服を着た人達があんぐりと口を開けてガン見してくる視線が痛い。

全く止まる気配のないザンザスに、は困った末に持っていたバッグを思いっきり振り上げた。

スパーン!!!と小気味いい音を立ててバッグはザンザスの頭に当たった。




「人様の前で何やってんのよ!!」




その瞬間、会場に戦慄が走った。

あのザンザスに手を上げる女がいるとは誰も思っていなかった。

とんでもない形相でを睨んでいるザンザスだったが、はすでに慣れているため呆れた顔で話を続ける。




「ここはどこなの?説明してよ」

「テメェ、後で覚えとけよ」

「テメェじゃなくて!・・・・・・・・・ねぇ。もう、って呼んでくれないの?」




少し悲しそうに小首を傾げるにザンザスは眉根を寄せた。

そんな表情を見て怒る気を失ったザンザスは舌打ちして頭を掻く。

はザンザスの手にシルバーのネックレスが巻かれているのを見付けて嬉しそうに目を細めた。




「、ウチに来たからには家主の言葉は絶対だ」

「・・・へ?」

「精々可愛がってやる」

「いや!何かアンタがそう言うと怖い!ちょっとそこのロン毛のお兄さん助けて!」

「カス鮫!ソイツを捕まえろ!」

「ゔお゙ぉぉい、ザンザスの女じゃねぇのかぁ?」

「「 違う!! 」」

「な、違うですって?!散々人にキスしといて今更何言ってんのよ!」

「あぁ?!お前が物欲しそうな顔してるから施しだ!」




ギャーギャー言い争う二人にポカンとする一同であったが、どことなく機嫌の良さそうなザンザスに安堵した。

そしてこの後、ヴァリアーにザンザスをも黙らせる最強の女神が舞い降りたとおかしな噂が流れるようになる。


* ひとやすみ *
・4話完結!!3話が伸びに伸びて、長い話が四つ出来たとは言いませんよ?
 実はこの続きも考えてあったりはしますが、とりあえず完結。
 続きを書くかは私の気分次第です。笑
 友達以上恋人未満?何か違うな。恋人以上愛人未満??あれ?変人以上恋人未満。あ、これか。笑
 そんな感じで終わっちゃいましたが、少しでも楽しんでいただけたのなら光栄です!          (09/08/08)