ドリーム小説
「お、お、おすまし!」
「・・静かにしてくれない?」
「い、い、イルカ!」
「咬み殺すよ?」
「よー?むずかしいなー。よ、よ?・・あ!よこすかー!」
何がどうなってこうなったのか。
暇つぶしに雲雀は本を読んでいただけだった。
もともと活字なら雑誌でも絵本でも何でも読む方だったので、ふと目に付いた洋書に目を通していたら、
気付けば隣に自分を嫌っているはずの小さな好敵手が座っていた。
あえて声を掛ける必要もないか、と放っておいたら好き勝手し始めて今に至る。
どうやら、「しりとり」をしているらしい。
雲雀の発した言葉の最後を拾って遊んでいる。
大体、何を思って嫌いな雲雀と遊ぼうと思ったのか、雲雀には皆目見当がつかない。
ボンゴレにはを可愛がってる大人はたくさんいるというのに何故自分なのか、
雲雀は隣をちらりと見下ろした。
ニコニコしているからは何も読み取れそうにない。
雲雀は溜め息を吐いて言い捨てた。
「・・・勝手にすれば」
「!バカやろうー!!」
「
うるさい」
***
いつも以上に元気なの相手をしながら、雲雀は適当に相槌を打っていた。
言い合ってばかりだったとしりとりで遊んでるなんて不思議な感覚だ。
そんな事を思っていたら、不意に辺りが静かな事に気付いた。
視線を隣に移すと俯いたままは動かなかった。
「、もういいわけ?」
「ケガしてたんだ・・・」
「・・・・・・・誰が?」
急に話が変わった。
が肩を震わして、声を震わして、辛そうに心配する相手なんて決まっている。
聞かなくても分かる。
相手はもちろん大好きなパパだろう。
「ガマンしたんだよ?おしごとがんばってねって。でもホントはヤなんだもん!
みんなこわいかおしてる時、あぶないことしてるのしってるんだよ。
パパ、ケガしてるのにだけなかまはずれにするのヤだよ」
今朝方、ボンゴレにもたらされた凶報にアジトが固まった。
余裕のある表情をしているいつものファミリーはどこにもいなかった。
を可愛がってくれている大人達をは心配していたのだ。
唇を噛んでいる小さなを見下ろして雲雀は溜め息を吐いた。
「(こんな小さな子に心配かけるなんて馬鹿じゃないの・・)」
雲雀はようやく洋書を閉じての視線に合わせるよう、膝をついた。
そして口を一文字に結んだに不敵に笑って見せた。
「弱いからね、君のパパ」
「パパは弱くないもん!!」
「・・・そうかもね」
雲雀は掌をの頬に当てて、親指の腹で噛んでいた唇を撫でた。
驚いたはポカンと口を開け、結果雲雀の思惑通り唇を離した。
「君のパパも面白いけど、僕はの方が強いと思うよ」
「ふえ?」
「面白い顔」
雲雀は口の端を持ち上げると、洋書を掴んで踵を返した。
ポカンとしていたを少しだけ振り返った雲雀は最後に爆弾を投下していった。
「しりとり、僕の勝ちだね」
「えぇ?!」
「『弱くないもん』」
「あ・・」
思わず声を上げては自分から最後に「ん」をつけてしまったのだった。
喉で笑うように軽快に歩いていく雲雀の背中にはフルフルと震え、いつものように叫んだ。
「うわーん!!きょんのバカー!!」
* ひとやすみ *
・いやよ、いやよ、も好きのうちvv違
姫さんときょんの組み合わせがとっても好きですvv (09/02/27)