ドリーム小説
「今、何と・・・?」
寺の僧侶からその話を聞いて私は思わずすっ飛んでいきました。
噂の境内に辿り着くと、洛兎との姿が見えて私はあらん限りの声を張り上げた。
「何やらかしてんですかァッ!!!」
***
「全く。洛兎と組み手なんて女性がするものではありませんよ。こんなに傷を作って」
「いたた。すいません」
噂の通り、最近、洛兎とは組み手を始めた。
体格差から何度も吹っ飛ばされ、傷をたくさん作っていたのだが、見えない腹部とかばかりだったので
虎珀にはバレなかったのだ。
噂が噂を呼び、ついに虎珀の雷が落ちた。
手当てをしながら虎珀が説教をたれる。
「いいじゃねぇか。本人が強くなりたいって言ってるんだから」
「よくありませんよ!こう見えてもは女せ・・ッ!」
「虎珀さん!それはシィー!」
と名乗っているは、男装して寺に住んでいるのだ。
バレてはいろいろ厄介な立場にある。
「でも洛兎さんの言う通りです。こんな時代だからこそ自分の身を守れる程度の力は欲しいんです」
まっすぐな目で見られた虎珀は、恨みがましく洛兎を睨み付けた。
女性らしさがどんどんから消えていくのはこの男のせいだ。
虎珀は悔しそうに薬箱を掴んで立ち上がった。
「組み手が終わったら必ず手当てに来る事。良いですね、」
「ありがとうございます!」
***
組み手をし始めてから数日。
は本当に筋がいい。
動きが機敏と言うよりか、滑らかなのが気になる。
普通の人間はこうも不自然な滑らかさはないものなのだが。
が繰り出してきた拳を捌いて、頭を狙って足を上げれば、予想外の動きに出た。
それは今で言う、バック転なのだが洛兎には違う動きに見えた。
「、お前、忍か?」
「へ?忍って・・・忍者、ですか?」
キョトンとしているに頷けば、盛大に笑い出した。
俺はそんなにおかしな事を言ったか?
「違いますよ。私、向こうでは新体操って言う身体を使う競技をしてたんですよ」
「お前みたいな忍が集まってするのか、そのしんたいそーは」
「ぷ!まぁ、そんな感じです」
「おっかねぇ、競技があったもんだな」
心底面倒臭い競技だと思ってそう言うと、は腹を抱えて大笑いし始めた。
何もそこまで笑う必要はねぇじゃねぇか。
の動きに納得いったところで、俺は前から渡そうと思っていた物をに放った。
慌てて掴んだは目を見開いてオドオドしていた。
「何だぁ?そんなおっかねぇ集団にいたんだ。今更、懐刀くらいにゃ驚かんだろうが」
「懐刀?!」
「がいつも腰にぶら下げてるのは包丁だろ。万一に使える刀を忍ばせとけ。
よし、次は刀を使って組むか」
「・・・・私にはこっちの方がよっぽどおっかないです」
「そうかぁ?」
この後、首を傾げてる洛兎は、有無も言わせずにさまざまな特訓をつけ、
同じくらい洛兎は虎珀に怒鳴られる事となる。
* ひとやすみ *
・日常編です。修行話は番外編に入れようと思っていたので
そのうち、こっそり移動してると思います。普段から包丁一式を持ち歩いてるヒロイン。笑
(こっそり移動しました。笑) (09/02/27)