ドリーム小説
4月1日木曜日、天気は生憎の雨。
部屋に籠って仕事ばかりしてるのも少し疲れた。
凝った首をグルリと回しながらリビングに向かうと、おかしなものが目に付いた。
やっぱ疲れてんのだろーか・・・。
目を擦っても消えない幻覚に俺は考える事を放棄した。
うん。俺、今、休憩中だしー・・・。
「お前ら、何でここにいる?」
「お疲れ、兄さん」
「兄さん玄関開いてたぜ。無用心だなぁ」
なぜマンションにお前らがいるんだ、ディーノに恭弥よ・・・。
よく執事がここに入る事を許し・・・。
・・・・・・開いてたって、まさか!!!
ハッとして恭弥を見れば、新聞に視線を落としたまま何の気なしに「壊した」とのたまった。
あぁ、頼むからこれ以上執事に喧嘩売るのは止めてくれ・・・!
あぁ、何でそんな仲悪いの君達・・・。
また突然始まった弟達の言い争いに俺は頭が痛くなって、ソファに落ちた。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「疲れてるね」
「俺達のせいか?」
「・・・いや」
多少は分かってたのかよ・・・。
まぁ、この疲れは山のような案件が片付かないからだから、お前達には関係ないんだけどね。
また黙り込んだ二人に首を傾げると、突然肩を掴まれた。
ワッシワッシと肩を揉むディーノに思わず、目を瞬く。
いや、気持ち良いけどさ・・・。
「やっぱ凝ってんなー」
「気持ち良い」
「そっか」
ニパッと笑ったディーノに感謝を込めて微笑むと、今度は鼻先にカップを突きつけられて驚いた。
ズズイとカップを顔に近付けて来る恭弥は、受け取らない限りコーヒーをぶっ掛けそうな勢いだ。
な、何?俺に淹れてくれたの?
思わず受け取って恭弥の顔を見上げるとどこか不機嫌そうな顔をしている。
「美味い。コーヒー淹れるの上手いな、恭弥」
「・・・別に」
一瞬だけ口の端を上げてプイッと視線を逸らした恭弥は満足そうにテーブルに戻った。
何でか相変わらず仲は悪い弟達だけど、俺にとっちゃやっぱ可愛い弟達だ。
ソファでグダグダしながらコーヒーを飲んでいたら、ディーノが向かいの席に座って言った。
「そういや、今日って嘘付く日だよなー」
「嘘・・・?あぁエイプリルフールか」
「あなたのためのような日だね」
「どう言う意味だ、恭弥?」
「
四月馬鹿の日」
「お前って奴はッ!!」
あぁ・・・、また始まった・・・。
そんなに嫌いならここに来なきゃいいのに。
思わず溜め息を吐くと、何でそんな話になったのかディーノが意気揚々と叫んだ。
「実はロマーリオが結婚したんだ!!」
「・・・・」
「嘘だね。あの男が結婚できるとは思えない」
ディーノもアレだが、恭弥、お前、容赦ないな・・・。
というか、一体いつの間に嘘吐き合戦になったんだ?!
むくれたディーノの口からまたもおかしな言葉が飛び出る。
「俺、ピーマン食べれるようになったんだぜ!」
「・・・お前、まだ食えないのか?」
「嘘吐く以前に大人としてどうなの、それ」
墓穴を掘りに掘りまくってるディーノは困った末に恭弥にバトンを押し付けた。
えー、恭弥が参加すると思ってんのか、お前・・・。
呆れたような顔をした恭弥が口を開いた。
「
並盛なんか滅んでしまえ」
「?!」
「お、お前の方が性質悪いぜ、恭弥!!」
ギャアァァァ!!シュールすぎるよ!!!
絶対嘘なのに嘘っぽくない辺りが怖すぎる!!
寧ろ守ってるって言うか、壊してるって言っても過言じゃないもんな、お前・・・!
ガタガタ震える俺にディーノは話を逸らすように話を振った。
「兄さんは何かないのか?!」
急に振られても全然思いつかないんだが。
何だか恭弥も無言の視線で催促しているようで困る。
えーと、えーと、えーと・・・。
・・・・・・あ。
「俺に弟はいない」
「「
・・・ッ!!」」
な、何でそんなにショック受けてんの・・・・・・?!
嘘吐けって言ったのお前らじゃん!!!
そんな絶望のどん底って顔されたら俺が悪いみたいじゃねーか!!
何だか臨界点を超えたっぽい弟達はプルプルと肩を震わせて、キッと俺を睨んだ。
「
兄さんなんか嫌いだ!」
「兄さんなんか嫌いだよ」
「!!!!」
イヤァァァァァァァ!!!!
ヒデェ!俺が一体何をした?!
お前らにそんなこと言われたら俺もう生きていけない!!
えぐえぐとソファの真ん中で丸くなると、急に両側から突撃を受けた。
い、いってぇ・・・!
右側にディーノ、左側に恭弥が俺に凭れるように座っていた。
「今の嘘だからね」
「俺達が兄さんを嫌うわけないだろ?」
うぅ!!嘘でよかったー!!嘘でよかったー!!
両腕にしがみ付く弟達にほんわかして、俺は心底思った。
「嘘吐いても良いことなんかないな」
「うん。本当にあなたはいつも碌でもない話を持ってくる」
「う!俺はただ兄さんに息抜きをしてもらいたくて・・・!」
またギャースギャースと騒ぎ始めた弟達に俺は苦笑した。
これはこれで仲良しの証拠なのかもしれない。
可愛い弟達の頭を思いっきり撫でてやると二人は目を瞬いた。
「いい弟達を持って俺は幸せ者だ」
俺が笑ってそう言うと、珍しく二人はただ黙ってはにかむ様に笑った。
「今のも嘘ですよ、お二方・・・」
振り返るとそこにボロボロのちくわと壊れた家の取っ手を握り締める執事が立っていた。
今後の展開を想像して思わず血の気が下がる。
・・・・・・・・こ、怖すぎる。
* ひとやすみ *
・そんなわけで、エイプリルフール話です!!
ちなみに嘘が有効なのは午前中だけらしいですが、気にしなーい!!笑
そして相変わらずヒーローっぽくヘタレです。
誰もまともな嘘一つ吐けないというね?笑
今回は仮想未来ということで、仲良く(?)ディーノと恭弥に出演してもらいました!
エイプリルフールだけに!!(ここ重要!
やぁ・・・何とか間に合った・・・!!
当サイトは企画が少ないのでここは気合入れて頑張った!一発書だけども!
ちなみにどこかを反転するとオマケがあります。笑 (10/04/01)